国土交通省は14日、「安心居住政策研究会」(座長:中川雅之日本大学経済学部教授)の第7回会合を開催した。
事務局は、4月に発表した中間とりまとめの概要と、今後の取り組みにおける課題と方向性を整理。今後の住宅は、環境に優しく「多様な世帯」がコミュニティの中で、安心して健康・快適に、自己実現して暮らせる場としてくことが重要であるとし、具体的には「スマートウェルネス住宅・シティ」の整備と、都道府県や市区町村に設置する「居住支援協議会」の取組強化策について議論していくと述べた。
今回の会合では、「居住支援協議会」の取組強化について議論。外部有識者として、神戸市居住支援協議会事務局・神戸すまいまちづくり公社住環境再生部の横田文子氏と、ホームネット(株)代表取締役の藤田 潔氏が、居住支援に係る取組事例を発表した。
横田氏は、「こうべ賃貸住宅あんしん入居制度」の運営と課題について説明。市内の民間賃貸住宅への高齢者受入状況について「約4割が受け入れない」という実態を述べ、連帯保証サービス・残存家財の片付けサービス・安否確認サービスがセットになった同制度により、高齢者等住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居を支援していくと話した。
藤田氏は、緊急通報装置や生活リズムセンサーの設置による「見守りサービス」の取り組みを紹介。サービス導入により安心が得られたという利用者の声や、通報装置の設置で高齢者向けアパートが短期間で満室になったなど、家主・管理会社の声を発表し、サービスの有用性について述べた。
なお居住支援協議会は、9月末現在39の都道府県(83%)で設立済みであり、未設立の8県についても今年度中に設立する予定。同研究会は、あと2回会合を開き、2016年1月下旬には「居住支援全国サミット」(仮称)を行ない、3月中旬に第2回中間とりまとめを公表する予定。