旭化成(株)は20日、同社子会社の旭化成建材(株)が三井住友建設(株)の下請けとして施工した横浜市内の分譲マンションの杭工事の一部に不具合等があった事案について、代表取締役社長の浅野敏雄氏らが会見。現状と今後の対応について説明すると共に謝罪した。
同社が施工した同物件の杭のうち、現時点では6本が支持層に未到達、2本は支持層に到達しているものの、支持層への差し込みが不十分であると推定。また、杭計473本のうち、38本に関し施工報告書において杭が支持層に到達したことを示す電流計データに転用・加筆があったことが判明している。
さらに、杭45本に関しては、施工報告書において、杭先端を根固めするセメントミルクの流量計データについても転用および改変があり、データに不備があった杭は重複を除き計70本となった。
この問題を受け同社では、浅野氏を本部長とする対策本部を設置。また、同社副社長執行役員の平居正仁氏を委員長とする調査委員会では、事実関係の調査および安全調査、原因の究明、再発防止策に関する検討を開始しており、調査結果については、法曹関係者らからなる外部調査委員会の検証を踏まえて年内に公表する予定。
同社では、当時の現場担当者への聴取を続けると共に、詳細な現場調査を行なった上で原因究明を図る。データ改ざんの痕跡がある70本に関しては、三井住友建設を介して第三者機関に調査を依頼。早ければ年内に調査結果が公表できるという。
また、過去約10年間の既製コンクリート杭工事についても調査を実施する方針。「10年より前の物件に関しては、データが残っておらず、検証ができない状態。しかし、不具合が発生している場合についてはきちんと対応する」(平居氏)。
浅野氏は「居住者の皆さまに多大なご迷惑をおかけしている。深く反省し、謝罪したい。居住者の皆さまの安全を最優先事項として、安心して住むことができるよう対応していく」と語った。