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空き家対策について、産・官・学の観点からセミナー開催/日本不動産学会

セミナーの様子

 (公社)日本不動産学会は12日、すまい・るホール(東京都文京区)にて、「空き家対策セミナー~有効活用と適正管理の最前線から~」を開催。約260名が参加した。

 冒頭、同学会会長の三井康壽氏は「空き家問題は住宅問題だけでなく、地域のコミュニティなど多岐にわたる問題を抱えており、今後も増え続けるだろう。それを踏まえ今回のセミナーを開催した。本日は、当学会が掲げる産官学連携に則り、産・官・学それぞれの立場から話をしていただく」と挨拶した。

 セミナーでは、同学会理事で横浜市立大学国際総合科学部教授の齋藤弘子氏が「空き家=地域資源とするために 空き家を不動産としてとらえ、不動産マネジメントによるすまい・まちづくりの実践のために」と題し基調講演。空き家が発生するのは、不動産としての政策がほとんどないことが原因とし、必要な対策として「都市計画」「まちづくり」「不動産業政策」「不動産管理政策」「居住政策」「福祉政策」の6つを挙げ、それぞれについて解説。「空き家にならないように予防・利活用すること、空き家を地域資源とすることが大切。空き家を不動産として捉えることが必要」と述べた。また、地域活動において取り組まれている事例を紹介しながら、「空き家対策には、民間力の引き出しも重要」として、その地域にあった地域連携型の体制を整えることが課題だと提言した。

 続いて、国土交通省住宅局住宅総合整備課長の北 真夫氏が「空き家の現状・課題・対策」について、データや空き家対策に関する法律・ガイドライン等を示し、自治体の空き家の相談窓口の設置や、除却、改修支援、流動化させる取り組みなどについて、事例を交えながら話をした。

 また、京都市都市計画国まち再生密集市街地・細街路対策課長の文山達昭氏が「京都市における総合的な空き家対策」、川口市技監兼都市計画部長の粟津貴史氏が「空家の実態と空き家対策の今後の展開」について、それぞれの地域での事例や課題などを報告。民間企業の取り組みとしては、ALSOK綜合警備保障(株)HOME ALSOK営業部企画課課長代理の内城大輔氏が、同社の提供するホームセキュリティと警備員による巡回を基本サービスとした「空き家管理サービス」を紹介した。


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