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外苑濠水の浄化施設取り入れた「大手門タワー・JXビル」が竣工/三菱地所

「大手門タワー・JXビル」外観
地下1階に設置された浄化施設。1分間にバスタブ5つ分の水を浄化できる

 三菱地所(株)とJXホールディングス(株)は16日、共同で開発を進めてきた「大手門タワー・JXビル」(東京都千代田区)を竣工した。

 同プロジェクトは、皇居東御苑出入口である大手門至近の開発計画「大手町ホトリア」街区に、敷地面積6,900平方メートル、延床面面積約10万7,500平方メートル、鉄骨造、鉄骨鉄筋コンクリート造地上22階地下5階建て塔屋2階建てのオフィスビルを建設するもの。
 JXグループの本社機能と、西村あさひ法律事務所の入居が決定しており、満室での稼働となる。

 民間としては初めて、皇居外苑濠の水質改善に寄与する大型貯留槽・高速浄化施設を導入。皇居外苑濠から取水し、高速で年間約50万立方メートルの水量を浄化していく。また、お濠の水が淀んでしまうのを回避するため、水を放流するための貯留槽(約3,000立方メートル)を地下に備えた。

 オフィスの窓は2.1m×2.9mとし、皇居外苑の豊かな緑と水の景色を眺望できるようにしたほか、皇居外苑の緑とのつながりを意識し、外構の約45%を緑地とするなど、心地良い環境を創出。
 また、東京都の大規模事務所ビルの平均CO2排出原単位と比較して、約36%削減するとともに、光の量と質を自動調整するLED照明システム導入等で、省エネ性と快適性を向上させた。
 さらに災害時でも事業の継続が可能となるよう、耐震性の確保や停電対策等を施し、帰宅困難者支援に対しての食糧・飲料水の備蓄やマンホールトイレを設置。これらの取り組みにより、都市再生特別地区制度の適用を受け、容積率の緩和等が図られている。

 同日開催された内覧会において、三菱地所代表取締役専務執行役員の合場直人氏は、「大手町エリアの開発においては、地域貢献の要素を取り入れており、今回はお濠の浄化施設を導入することになった。皇居付近は外国人の訪れることが多い。その際にきれいな水を見てもらうことで、東京の環境の良さをアピールできれば」と話した。

 今後は、エリア就業者や来街者が交流し、環境ビジネスを創出する拠点「3×3Lab Future」や、健康な活動を支援する環境を提供するコンディショニングセンター「R-body prject」を整備していく予定。
 また、地下1階には、隣接する大手町パークビルディングと合わせ「ホトリアShops&Restaurants」として、2017年1月にグランドオープンする計画。


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