不動産ニュースと不動産業務のためのサポートサイト

海外投資家の15年の取引額、前年比27.9%減/CBRE調査

 シービーアールイー(株)(CBRE)は18日、2015年第4四半期および通年の投資市場動向と、四半期ごとに実施している「不動産投資に関するアンケート」結果を発表した。調査は1月8~22日、不動産投資家などを対象に実施。134人から回答を得た。

 当期の収益不動産累計取引額(10億円以上の取引)は6,770億円(前年同期比59.1%減)、通年の取引額は3兆5,560億円(前年比27.9%減)となった。東京を中心に前年に比べて大型案件が少なく、案件当たりの金額が縮小したことが主な要因と見られる。

 アセットタイプ別の取引額比率は、オフィスが48%(1兆6,040億円)と最も多く、次いで商業施設が21%(7,095億円)。また、ホテルへの投資が大きく躍進し、15年通年で全体の11%(3,760億円)と、物流施設と住宅を抜いて3番目に。訪日外客数の増加にホテルに対する投資家の関心も高まっていると予測できるが、今年の取引額の大半はJ-REITを含む国内投資家数社によるもので、特に、J-REITは前年の2.5倍の伸びとなっている。今後は投資対象としても、また、消費の重要な下支え役となりつつある訪日外国人の受け皿としても、ホテル開発案件の増加が期待される。

 また、東京都心での売り物件の不足や取得利回りの低下を背景に、地方都市の存在感はさらに高まっている。15年は、東京主要5区での取得額の比率が38%と、調査開始した05年以来はじめて40%を下回る結果に。一方、大阪・名古屋を含む地方都市での取得総額は9,310億円(前年比8.9%増)で、全体に占める比率は前年の18%から29%に上昇した。

 なお、当四半期の期待利回り(NOIベース)については、東京の平均値はオフィス、商業施設を除く全てのセクターで低下し、ホテルは5.05%(同20bpsマイナス)、物流施設は4.9%(同10bpsマイナス)となった。賃貸マンション(ワンルーム4.58%、ファミリー4.70%)も再び低下。オフィスと商業施設は前期から横ばい。
 地方都市のオフィス期待利回りは引き続き低下傾向。大阪は5.43%(同7bpsマイナス)、名古屋は5.75%(同5bpsマイナス)となり、他の地方都市も全て低下している。

 「不動産投資に関するアンケート」では、「不動産取引量」、「売買取引価格」、「NOI」(物流施設は「賃料」と「空室率」)、「期待利回り」、「金融機関の貸出態度」、「投融資取組スタンス」の6項目に関して調査。オフィス(Aクラスビル)は「3ヵ月前と比べた最近(回答時点)」がすべての項目で悪化した。10ポイント以上悪化したのは「売買取引価格」(前年比18ポイント低下)、「不動産取引量」(同13ポイント低下)、「期待利回り」(同10ポイント低下)。ただし、DIの悪化は「前期と変わらない」の回答率が増えたことが要因。

 物流施設(マルチテナント型)は、「3カ月前と比べた最近(回答時点)」のDIは全項目で悪化しました。ただしオフィスと同様、「前期と変わらない」の回答率が増えたことが原因。しかしながら、大量供給に対する懸念を反映し、「空室率」DIは前期に比べて9ポイント悪化している。


最新刊のお知らせ

2025年5月号

「事故物件」、流通の課題は? ご購読はこちら