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人口減少社会の土地政策、ビッグデータの活用方法等を検討/国交省

第25回国土審議会土地政策分科会企画部会の様子

 国土交通省は23日、第25回国土審議会土地政策分科会企画部会(部会長:東京工業大学大学院社会理工学研究科教授・中井検裕氏)を開催した。

 昨年、新たな国土形成計画や社会資本整備重点計画が閣議決定され、「コンパクト+ネットワーク」や「ストック効果の最大化」といった新たな方針が打ち出されたことなどを踏まえ、人口減少社会での経済成長を支える土地政策のあり方を検討する。同部会の稼働は6年ぶり。
 (1)社会資本のストック効果を最大限発揮させるための土地利用方法、(2)災害に対し脆弱な国土での安全な土地利用の促進やコンパクト化した中での適正な土地利用の維持など「賢い土地利用」方法、(3)土地利用活性化のための土地・不動産関連のビッグデータ等の提供・活用方法、(4)土地利用上の課題解決に土地・不動産のプロフェッショナルの能力や経験を活かす方策などを検討している。
 これまで行なわれた2回の会合では、土地利用を巡る現状把握や低未利用ストック活用に関するヒアリング、今後の土地政策の基本的方向性などを議論してきた。

 今回はビッグデータやプロフェッショナルの活用等について議論。(株)野村総合研究所コンサルティング事業本部上級研究員の谷山智彦氏は近年注目の「FinTech(フィンテック)」(ITを用いて金融関連サービスに付加価値を生み出したり、新ビジネスモデル・サービスを創出しようとする企業を指す幅広い概念)同様、ビッグデータやテクノロジーによってイノベーションを起こす動きは土地・不動産の世界にも広がりつつあり、「RE(Real Estate) Tech(不動産テック)」と呼ばれ、さまざまなサービスが登場しつつあると紹介。土地・不動産関連のオープンデータ・ビッグデータを官民で整備したうえで、それら情報を活用する不動産テック産業を育成し、不動産業界の生産性を高めるべきとした。
 事務局(同省土地建設産業局総務課)からは、非公表の不動産関連データの利活用を進め、不動産関連会社等に提供する専門性の高い情報は利用しやすい形式で提供することで、新たなサービスや研究成果が生まれ、官民協働の新サービス創出や市場の成長につながるとした。
 委員からは「ストックや履歴情報の整備が必要」「民間とのすみ分けを行なった情報整備を行なうべき」「不動産管理実態を情報と共に把握することが重要」といった意見が出た。

 次回は3月24日に開催し、「賢い土地利用」の促進に関して議論する。5月に提言案を策定し、6月に提言をとりまとめる予定。


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