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不動産ストック再生・利用推進、ノウハウを掲載した事例集をとりまとめ/国交省

「不動産ストックビジネス」の概念図。まちづくりの視点を重視した不動産ストックの再生・活用を図り、不動産を核とした新たなサービス・付加価値の提供により、まちの魅力向上に貢献するというもの

 国土交通省は7日、3回目となる「不動産ストック再生・利用推進検討会議」(座長:早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授・川口 有一郎氏)を開催した。

 同会議では昨年7月より、不動産ストックの再生・利用を効率的に進めるため、その資金調達、収益化の方法や、今後の地域の不動産関連事業者の企画・経営のあり方等について検討してきた。これまで出た意見等を踏まえ、地域の不動産事業者等に向け、従来の不動産管理や仲介といった「箱の産業」にとどまらず、地域の新たな需要に対応した不動産ストックの再生・活用を行なう「場の産業」を展開する「不動産ストックビジネス」の考え方と、先進事例から学ぶノウハウをとりまとめる。

 「不動産ストックビジネス」は、まちづくりの視点を重視した不動産ストックの再生・活用を図り、不動産を核とした新たなサービス・付加価値の提供により、まちの魅力向上に貢献すると定義。具体例としては、シェアハウスなどの新しいライフスタイルの提供や高齢者の見守りサービス、子育て支援サービス、地域ビジネスの活動拠点づくりをあげている。

 会議では、「不動産ストックの再生・活用やその資金調達に取り組むための事例集」案を公表。不動産ストックの再生・活用事業取り組みのポイント、宅建業者やオーナー等による11の取り組み事例を紹介。ポイントとしては「需要の掘り起こし」「人材ネットワークの構築」「資金調達手法の工夫」を示し、各事例においてどのように取り組まれていたのか解説した。

 また、不動産ストックビジネスの発展・拡大に向けた今後の方向性として、不動産ストックビジネスの担い手育成・関連事業者等の連携強化、小規模な不動産ストックの再生・活用事業の促進を示した。今回の成功事例を共有することで人材育成を促進、宅建業者だけにとどまらず、地域の金融機関、地方自治体など、さまざまな主体との連携が図るよう取り組んでいく。クラウドファンディング等の資金調達手法の活用を広げていくことも重要とした。

 各委員からは、不動産ストックビジネスの拡大と推進に必要なものについて、「行政と民間が連携し地域ブランディングを意識したコンテンツづくり」「不動産特定共同事業法など、従来の法制度の見直し」「新たなITや金融商品の活用ができるよう、担い手のスキルアップを図る長期間のサポート」「空き家を負の資産だけではなく、地域の資源と考える発想」といった意見が出た。

 事例集は、今回の会合を踏まえ中身を最終調整し、3月末に公表予定。


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