大手住宅メーカー10社と各グループの不動産会社で構成する優良ストック住宅推進協議会(会長:積水ハウス(株)代表取締役会長兼CEO・和田 勇氏)は15日、都内でシンポジウム「スムストックレポート2016」を開き、会員会社役職員ら約300人が集まった。
同協議会は2008年に設立。一定の基準を満たした既存戸建住宅を「スムストック」と名付け、スケルトンとインフィルの分離査定による値付けなどを展開している。冒頭、挨拶した和田会長は「単に既存住宅を流通させるのではなく、リノベーションを通じて、いい形で次の居住者に住宅を受け渡すことが大切。既存住宅をきちんと流通させることは環境負荷の低減も実現できる。当面は、早期の年間成約1万件を目指す」などと話した。
シンポジウムでは、代表幹事の松島雄一氏が同協議会の活動を報告。15年度(15年7月~16年6月)は、成約数が1,500件(前年度比15.6%増)に達する見込みで、年度末には累計契約数が5,000件を超える予定だとした。
成約物件の平均像は、築16.2年、延床面積128.42平方メートル、土地価格を含まない建物成約額は1,079万円となった。築20年以上の平均建物価格は522万円で、築31年以上の建物でも平均307万円の値が付いていることもわかった。土地価格を含めた査定額と成約額の差異も平均で前後1%程度と、「ほぼ査定額通り成約できている」ことを強調した。
その後「グループ連携強化による成約数増大に向けて」をテーマにパネルディスカッションを実施。同協議会事務局長の中林昌人氏をコーディ―ネーターに、北海道セキスイハイム(株)不動産部仲介・賃貸グループ長の上野雄也氏、積和不動産関東(株)常務取締役仲介事業部長の土屋和雄氏、(株)ヤマダ・エスバイエルホームスムストック推進室課長の夏目昌章氏、旭化成モーゲージ(株)代表取締役社長の小郷直史氏をパネリストに、スムストックの成約増大に向けて意見交換した。
3年連続でスムストックの成約が最多で、今年度も現時点ではトップという上野氏は、グループの新築部門やリフォーム部門と連携した成約事例といった、自らの営業スタンスを披露。「築20年の住宅でも、案内した時にメンテナンス工事を行なった時期やコスト、次のメンテナンス時期や会社のサポート体制などを伝えている。築20年ではなく、“あと40年安心して住める”点をアピールすることが大切」などと語った。
ヤマダSXLの夏目氏は、すべての新築モデルハウスにスムストックの展示コーナーを設けた同社の取り組みを紹介。「当社で住宅を建てることで、長期的に価値のある建物を建てることになるということを伝えている」と、新築営業との連携手法について述べた。