ラサール インベストメント マネージメント インク(LIM)は16日、主要30ヵ国における不動産投資の展望をまとめた「2016年グローバル不動産投資戦略」を発表した。
レポートでは、グローバルな投資展望について「低成長、低インフレ、低金利」の3つの“低”に代表されるマクロ環境により、「高水準の資金フロー、高価格、高リターン」の3つの“高”がもたらされてきたが、16年は安定的なリターンとリスクが混在する年になる、と分析。1年以内に3つの“低”が反転する可能性は低いものの、多くの市場が資本市場サイクルの後退期直前の「成熟期」に入ることから、市場後退期へ向けて準備が重要となると示唆した。「長期間、期待利回りが得られていないものの売却を検討する時期に入った。守りと攻めのバランスを考えた投資が重要になる」(ラサール不動産投資顧問(株)グローバル投資戦略・リサーチ責任者のジャック・ゴードン氏)と述べた。
アジア太平洋地域については、シンガポール・韓国が後退期に突入、香港、中国が成熟期に入ったと指摘。それでも16年は豊富な資金流入と熾烈な取得競争は継続すると予測した。
また、同社のオーストラリア、中国、日本への投資戦略として、先進的物流施設の開発や、リースアップ、インカム成長を期待しての投資などを進めていく計画を明らかにした。
日本については、DTU(D:人口動態、T:テクノロジー、U:都市化)のトレンドを追求しながら、先進的物流施設や都心商業・ホテルなどに対し戦略的に投資していく考え。また郊外商業施設についても、「生活必需品主体のものについては高齢者のニーズが底堅い。小規模オーナー所有のものも多いことから、投資先を精査しながら取得し、インカム成長を図る」(同社日本・韓国 投資戦略・リサーチ責任者・高野靖央氏)との考えを示した。