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平成28年地価公示、全用途平均が8年ぶりに上昇

 国土交通省は22日、「平成28年地価公示」を発表した。調査地点は全国2万5,270地点。うち、東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示区域内の15地点については、調査を休止した。

 平成27年1月以降1年間の地価変動率は、住宅地が全国平均で0.2%下落(前年0.4%下落)、商業地が0.9%上昇(同変化なし)。全用途平均では0.1%(同0.3%下落)と、8年ぶりに上昇に移行した。三大都市圏では、住宅地は0.5%上昇(同0.4%上昇)で、ほぼ前年並みの小幅な上昇。商業地は2.9%上昇(同1.8%上昇)と、最近3年間で上昇基調を強めている。

 住宅地は、全国的な雇用情勢の改善や、住宅ローン減税等の施策による需要の下支え効果があり、地価は総じて底堅く推移。商業地については、外国人観光客の増加などによる店舗・ホテル需要の高まりや、主要都市でのオフィス空室率の低下などによる収益性の向上を背景に、不動産投資意欲が旺盛に。地価は総じて堅調に推移した。
 
 都道府県地価調査との共通地点1,631地点半年ごとの地価動向をみると、全国では年前半・後半ともに上昇。三大都市圏・地方圏の住宅地・商業地も、年前半・後半ともに上昇した。

 調査地点を上昇・横ばい・下落別にみると、住宅地は上昇5,245地点(同5,081地点)、横ばい3,411地点(同3,104地点)、下落7,672地点(同8,093地点)。商業地は、上昇2,551地点(同2,288地点)、横ばい936地点(同963地点)、下落2,362地点(同2,600地点)。いずれも「上昇」が増え「下落」が減少し、地価の改善傾向が顕著となった。

 都道府県別地価変動率については、住宅地で上昇した都道府県数が10(同9)、2%以上下落した都道府県数は5(同11)。商業地は、上昇した都道府県数が16(同12)、2%以上下落した都道府県数は9(同22)にとどまった。
 
 今回、最も上昇した住宅地は、北海道虻田郡倶知安町字旭305番-38外の19.7%。外国人によるニセコリゾートへの投資等により地価が上昇。札幌市中央区の地価も、マンション素地需要に加え富裕層による戸建住宅地需要が旺盛で、上昇が続いている。商業地は、大阪府大阪市中央区心斎橋筋2丁目39番の1で45.1%の上昇。外国人観光客の増加が寄与し、店舗・ホテルの需要が旺盛だった。


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