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東急不の元住宅開発用地を再生。千葉・市原に太陽光利用の植物工場/日本リノ・アグリ

「おひさま耕房」外観
栽培室。特殊な光拡散シートで覆われており、床の白色シートと併せ太陽光を確保。多段式の循環水耕システムと高度な環境制御により、20種類以上の葉物野菜を、1日3

 東急不動産(株)や造園業者の(株)生光園などが出資する農地再生サポート会社、日本リノ・アグリ(株)(千葉市緑区、代表取締役:中村伸雄生光園代表取締役)は、太陽光を利用した植物工場「おひさま耕房」(千葉県市原市)を竣工。30日、報道陣や関係者に公開した。

 同社は、東急不動産が住宅開発を目的に買収していた千葉県市原市東国吉地区の土地(約212ha)の再生を目的に、2014年3月設立。東急不動産は、社会情勢の変化等を理由に住宅開発を断念し、生光園に土地を売却したものの、地域活性化への責任を担う目的で同社に出資。他の出資者とともに、同エリアでの農業を軸とした地域開発を手掛けていく。

 現在、事業が進捗しているのは、25ha。これまで、土壌改良により再生した農地での露地栽培や、事業資金ねん出のためのメガソーラー発電所の建設などを行なってきた。

 「おひさま耕房」は、約4,400平方メートルの敷地に、特殊な光拡散シートで覆われた栽培室や発芽室、育苗室、作業場など7棟(約2,200平方メートル)を建設。光拡散シートと床の白色シートで太陽光を確保。多段式の循環水耕システムと高度な環境制御により、20種類以上の葉物野菜を、1日3,000株生産・出荷できる能力を持つ。

 総事業費は、約9,600万円。同市の次世代農業導入支援事業および経済産業省のグローバル農商工連携推進事業の補助金を受けており、生産した野菜は地元や首都圏の小売店や飲食店への出荷に加え、シンガポールなどアジア圏へ輸出も行なう。

 30日開催した完成披露会で挨拶した同社の中村社長は「地域資源の利活用と先進技術を融合した農業の再構築で、地域にあったまちづくりと持続可能な社会を目指していく。苦労は多いが、やりがいも大きい。市原に根差し、骨をうずめる覚悟で取り組んでいく」と抱負を述べた。
 また、来賓として挨拶した市原市長の小出譲治氏は「わが市では、市内各地で、農業就業者の高齢化、なり手の不足、耕作放棄地の増加といった問題を抱えている。新たな活力を生み出す産業として、また地方創生を先取りした取り組みとして、次世代農業を推進していく。市原産の野菜を、新鮮・安心・安全なブランド野菜として、国内外に広めてほしい」と激励した。

 同社は、今後も市と協働し、次世代農法の普及や農地再生に加え、ミツバチ観光農園や体験施設、廃校を使った木質バイオマス集積所・発電所、セミナーハウスなどの開発・運営事業に取り組んでいく方針。


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