京都市は9日、「京都市民泊施設実態調査」の結果を発表した。
8つの民泊仲介サイトに掲載されている市内の民泊施設をリストアップし、施設タイプや旅館業法許可の有無、所在地の用途地域の適合性などを調査したもの。併せて市内民泊施設から40件を抽出、周辺住民に対するヒアリングも行なった。調査期間は2015年12月1日~16年3月31日。
市内で確認された民泊施設は2,702件。うち戸建住宅が935件(34.6%)、集合住宅が1,677件(62.1%)であった。
戸建住宅では1棟貸しが約60%、部屋貸しが約40%であるのに対し、集合住宅では1戸貸しが約90%、部屋貸しが約10%と、傾向に違いが見られた。
所在地の特定ができたのは1,260件(46.6%)。うち、旅館業の許可が確認できたものはわずか189件(7%)にとどまり、無許可と思われる施設は1,847件(68.4%)にのぼった。
無許可と思われる物件を施設タイプ別に見ると、戸建住宅では548件(58.6%)、集合住宅では1,255件(同74.8%)と、開きがあった。
都市計画法における用途の適合性については、2,026件(75.0%)が用途に適合していたものの、322件(11.9%)は不適合であることが判明した。
最低宿泊日数については、半数以上が1泊から宿泊可能としており、国家戦略特区を活用した場合の最低宿泊日数である6泊7日以上を設定している施設は、わずか1.6%にとどまった。
周辺住民に対するヒアリングでは、施設周辺の住民は民泊施設開業にあたって説明を受けておらず、「管理者が常駐せず誰がどのように運営しているか分からない」「トラブル時の連絡先も分からない」という声が聞かれ、そういった状況により不安を増大させていることがわかった。また外観からは宿泊施設であるかどうかの判別ができないため、宿泊客が迷うケースもあるとのことだった。
また戸建住宅では、「多くの人数が宿泊可能なため騒音につながりやすい」「路地奥の施設では火災の発生が心配」といった声が多く聞かれた。一方集合住宅では、不特定多数の観光客が宿泊することでオートロックの意味がなくなっていることに不安を抱く声や、住人が苦情を訴えて対応しない不動産管理会社があるとの声が確認された。