高齢者住宅経営者連絡協議会は30日、渋谷区文化総合センター(東京都渋谷区)でシンポジウム「虐待問題に高齢者住宅経営者が真正面から向き合う!」を開催した。
冒頭挨拶した同協議会会長の森川悦明氏は、「神奈川県内の有料老人ホームで発生した介護職員による虐待・殺人事件を非常に重く受け止めている。介護の現場は3Kと言われて久しいが、この仕事に意欲ややりがいを持って取り組んでいる人がほとんどだ。事件が発生した原因を未解決で終わらせないためにも、このテーマを取り上げることとした」と述べた。
第1部では、「虐待問題、私の考え」をテーマに、会員企業4者の代表が登壇。アース代表取締役の佐塚 みさ子氏は、以前勤務していた施設で虐待を受け心に傷を負った入所者に遭遇した経験を述べ、その傷を回復させるためにどのような介護を行なったかなどを語った。
伸こう福祉会理事長の足立聖子氏、(株)ツクイ代表取締役の津久井 宏氏は、職員、入居者、入居者家族から意見や疑問、相談などを受け付けるホットライン開設などの取り組みについて紹介、虐待発生の防止にもつなげていると説明した。
また(株)マザアス代表取締役の吉田 肇氏は、自社の施設で管理者として従事する社員を対象に実施したこの事件に関するアンケート調査結果を紹介。事件への印象や、再発防止に必要なことなど、現場に従事する人の生の声を紹介した。
第2部では、高齢者住宅の経営者、高齢者住宅で介護に携わる職員、高齢者住宅の入居者、福祉を学ぶ学生などが参加したパネルディスカッションを開催。介護職員による殺人事件の発生の報を受けどう感じたか、二度とこの事件を起こさないためには何か必要かなどについて、それぞれの立場から意見を交換した。