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住宅商品化に向けてCLT実験棟を建築/桧家HD

CLT実験棟完成パース
CLT(画像下側)をあらわしとした天井仕上げを採用

 (株)桧家ホールディングスは10日、埼玉県伊奈町で建築中のCLT実験棟の構造部をマスコミに公開した。

 CLTとは、クロス・ラミネーテッド・ティンバーの略で、板状に製材・乾燥させたひき板を、繊維方向が直交するように重ねて接着した大判パネルを指す。断熱・遮音・耐火性に優れており、中高層建築が可能な木造建築の材料として欧米での普及が進んでいる。

 同実験棟は、2016年に日本でも確認申請が取れるようになったことを受け、今後の商品開発を目的に建築している。敷地面積126.33平方メートル、地上2階建て、延床面積143.16平方メートル。資材が割高となるためコスト面を考慮し、在来軸組工法にCLTを組み合わせた工法を採用。CLTのメリットである強度を活かすために1階と2階の軸組間にCLTを挟み込み、スギの4層(4プライ120mm)と3層(3プライ90mm)の2つのCLTを交差して接合することで、通常の在来軸組工法では柱が必要になる1.82m跳ね出しを、2方向へ柱なしで実現した。
 また、CLTの特徴を生かし、リビングはCLTをあらわしとした天井仕上げを採用し、天井高2.6mの大空間を創出している。

 竣工は9月を予定。今後は建築中・完成後に施工性や防水性、音の遮音性能などの検証を行ない、実験棟での検証を基に設計ルール作りを行なっていく。なおユーザー向けの公開は現時点では予定していない。

 見学会で同社取締役マーケティング・FC事業・CADセンター担当兼マーケティング部長の荒木伸介氏は、「都市部の狭小地の有効活用として跳ね出しの提案が有効だと考えている。実験棟ということで各方面より協力していただいているが、現状で通常資材と比べて原価が2倍程度。CLTの製造メーカーもまだ限られており、輸送費も大きい。今後はオリジナルサイズの規格化でコストダウンを図るなど、商品化に向けて実証実験を進めていく」などと述べた。


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