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不動産取引に影響を与える民法改正点を解説/RETIOがセミナー

講演会の様子

 (一財)不動産適正取引推進機構(RETIO)は17日、すまい・るホール(東京都文京区)にて、第100回講演会を開催。「民法改正の内容と改正に伴う不動産取引での留意点」をテーマに、涼風法律事務所・弁護士の熊谷則一氏が解説した。

 売買に関する規律のポイントとして、豪雨のときに雨漏りをするという欠陥が建物にあった例を挙げ、その対応法として、現民法の「瑕疵担保責任」から、改正民法では「契約不適合責任」を負うという考えを採用する点について言及。「買い主が売り主に対して責任を追及することができるかは、契約の内容によって決まることを明確にするため、改正民法は『瑕疵』という文言を使わないこととしている」などと指摘した。

 賃貸借に関する規律では、現民法では「借地借家法が適用される場合を除き、賃貸借契約期間の上限は20年」と解説。改正民法では「例えば、借地借家法の適用のない土地の賃貸借(資材置き場とするための土地賃貸借契約等)についても、50年までの契約を締結することができるようになる」と、その違いについて解説した。

 また、実務に大きく影響してくる「保証」についての改正点について言及。「個人が保証人となる根保証契約は、債務の中に賃金等の債務が含まれるものだけではなく、すべて極度額を定めなければ無効」であるとし、「個人根保証契約の極度額の定めは、書面で行なわなければ無効」と注意を促した。

 熊谷氏は、「分かりやすい物件情報を買い主に提供することで、紛争やトラブルは減る。実務に支障をきたさないためにも、改正点をしっかりと理解しておく必要がある」などと話した。


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