国土交通省は4日、「土地政策の新たな方向性2016 ~土地・不動産の活用と管理の再構築を目指して~」を公表した。
国土審議会土地政策分科会企画部会(部会長:東京工業大学大学院社会理工学研究科教授・中井検裕氏)において、昨年12月から検討を重ねてきた。4日開催の第30回の部会で最終調整を図った。前回(6月22日の記事参照)から大きく変更はなく、面的な規制・誘導に限らず、個々の土地に着目した最適な活用・管理(宅地ストックマネジメント)の実現を目指す。「放棄宅地化の抑制」を図りながら、成長分野の需要に的確に対応しながら資金や土地・不動産を供給する「最適活用」と、活用の選択肢を増やしながら隠れた需要を顕在化する「創造的活用」を、官民連携を図りながら推し進める。
部会では、今回のとりまとめで新たな概念として加わった「創造的活用」について、全国の具体的事例を集め、分類化した「ベストプラクティス集」の作成の必要性が指摘され、国交省でも検討するとした。そのほか、今回とりまとめでは触れられなかった、都心近辺部の住宅地の活性化やそれに伴った働き方の多様化への対応などについても、土地政策面での検討が重要だとした。
中井氏は「今回のとりまとめでこれまでの土地政策で触れられていなかった“隙間”の部分を埋めることができた。内容としては、実現までに時間がかかるもの、すぐにできるものに分類できる。空き家等における隣地との一体活用は早期実現が可能なはずだ。また、今回は含めることが叶わなかったが、空き家の寄附等を含め、防災リスクの高いエリアの土地・建物活用などは長期検討が必要」と統括した。
今回のとりまとめを受け、土地・建設産業局長の谷脇 暁氏は「今後の土地政策の柱となる方針ができた。できるものから順次実践していきたい。差し当たり、今回のとりまとめでも利用しやすさの改善が指摘されていた不動産特定共同事業法の改正案を次回国会に提出する。税制面についても検討したい。ソフト部分の支援も来年予算に向けて動き出す」などと述べた。
とりまとめの詳細は同省ホームページ参照。