日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)は31日、耐震診断結果の調査データを公表した。2006年4月1日~16年6月30日までに木耐協が行なった耐震診断のうち1950年~2000年5月までに着工された木造在来工法、2階建て以下の建物2万4,486棟を対象に、「倒壊しない」「一応倒壊しない」「倒壊する可能性がある」「倒壊する可能性が高い」の4段階で集計した。
震度6強クラスの地震が発生した場合、「倒壊しない」という診断結果になったのは358件で全体の1.46%。「一応倒壊しない」が1,926件・7.87%だった。一方、「倒壊する可能性がある」が4,408件・18.00%、「倒壊する可能性が高い」が1万7,794件・72.67%となり、計9割以上の住宅が現行の耐震性を満たしていないことが分かった。
80年以前の旧耐震基準建物と、81年以降の新耐震基準建物とで分けてみると、旧耐震基準建物では「倒壊する可能性がある」が12.97%、「倒壊する可能性が高い」が84.05%で、約97%の建物で耐震性に問題があるという結果に。新耐震基準建物でも、「倒壊する可能性がある」が22.90%、「倒壊する可能性が高い」が61.59%と、約84%の住宅の耐震性に問題があった。
また今回の調査では、建築年を5年ごとに区切り、その期間ごとに「屋根の重さ(仕様)別の割合と耐震性の変化」もまとめた。
「屋根の重さ」は、(一社)日本建築防災協会の3段階の規定(「軽い建物:石綿スレート板、鉄板葺」「重い建物:桟瓦葺」「非常に重い建物:土葺瓦屋根」)に基づく。
76~80年に建築した住宅では「非常に重い」(14.71%)、「重い」(59.57%)、「軽い」(25.72%)、一方、96~00年の住宅では「非常に重い」(4.00%)、「重い」(29.29%)、「軽い」(66.71%)となっており、新耐震以降、軽い屋根の割合が増加していることが分かった。
屋根の重さと耐震性(評点)との関係では、「軽い」が0.679、「重い」が0.524、「非常に重い」が0.415と、屋根が重くなるごとに耐震性が2割低くなる結果に。建築された年代別で見ても、どの年代でも同様の傾向が見られるため、同協会では「築年数に関わらず、屋根が重いほど耐震性が低い=屋根が重い住宅ほど耐震改修の必要性が高くなる」と分析している。