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学生のリノベーション提案を初の具現化/エイブル

学生のアイディアでリノベーションした住戸
デザインを担当した前野氏(写真左)と原地氏(同右)

 (株)エイブルは8月31日、同社の学生キャリア支援プログラム「エイブルデザインチームプロジェクト」のリノベーション具現化企画のメディア向け見学会を開いた。

 「エイブルデザインチームプロジェクト」は、建築やデザインを学ぶ学生を集め、リノベーションデザインを考え、オーナーに提案する学生支援の取り組み。2015年11月に発足し、物件が完成したのは初めて。

 物件は、東京都練馬区に所在。東武東上線「東武練馬」駅より徒歩7分に立地する、築38年、総戸数27戸の賃貸マンションの1室。専有面積は30.76平方メートル。今回リノベーションした部屋は、前オーナーが修繕工事を行ない、資材等が放置されたままオーナーチェンジし、現オーナーに引き渡されていた。

 今回リノベーションデザインを提案したのは、「エイブル空間デザインコンペティション」において最優秀賞を受賞した原地千尋氏、前野 慧氏の2人。共に多摩美術大学を今年3月に卒業、現在はフリーのデザイナーコンビとして住宅やウェブなど多方面のデザインを手掛けている。池袋や都心にアクセスしやすい地域特性や、もともと単身男性の入居が多い物件という特徴を生かし、「単身男性ビジネスマンの好奇心を満たせる空間」をコンセプトにした。

 室内には、自転車の整備ができる大きな土間や、コレクションのディスプレイにも使える棚、映画を楽しめるロールスクリーンなど、さまざまな趣味に対応できる工夫を凝らした。このほかにもつくり付けの大テーブルなども特注した。「賃貸住宅なので、何年かすれば入居者は入れ替わります。さまざまな趣味を持つ人が楽しめる部屋を目指しました」(前野氏)。

 賃料は、同マンションの同タイプの部屋の直近の成約賃料が6万5,000円だったのに対して、今回の部屋は8万7,000円(共益費3,000円)で募集する。営業を担当する同社東武練馬店店長代理の新家浩史氏は「近隣はデザイナーズ物件が極めて少なく、十分勝負できる賃料であると判断しています」と話す。

 リノベーション費用は、約600万円。「今回は従前の資材が放置された状態から、スケルトン化するなどしたことから、費用はかさみました。今回のプランを商品化できれば、コストは100万円程度にできるはずです」(エイブルリフォーム(株)代表取締役社長・三嶋 哲氏)。


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