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長周期地震動削減装置を新宿野村ビルに設置/野村不動産

「デュアル TMD-NT」設置イメージ
建物の揺れ幅が小さいときは積層ゴム(写真奥)が、揺れ幅が大きい時はリニアスライダーが重りを支持。それをオイルダンパー(写真手前)で、振動を減衰する

 野村不動産(株)は30日、「新宿野村ビル」(東京都新宿区)にて行なっていた制震装置「デュアル TMD-NT」の設置工事の竣工を発表した。

 長周期地震動対策として、同社と(株)竹中工務店とが同装置を共同開発。同ビルに初めて導入した。

 建物の揺れと逆方向に動く重りを用いて、建物の揺れを抑制する仕組み。今回、同ビルの52~53階部分の建物内に1基700tのTMD(Tuned Mass Damper)を2基設置。1基の重りを2段の積層ゴムとリニアスライダーで支持。建物の揺れ幅が小さいときは積層ゴム、揺れ幅が大きいときはリニアスライダーにより重りを支え、オイルダンパーで揺れを減衰する。
 貸室内に入ることなく工事を進めることができるのも特徴の一つだという。

 併せて(株)NTTファシリティーズが提供する建物安全度サポートシステム「揺れモニ」を導入。全フロアに地震計を設置し、そこから集めた建物の変異を解析、ビル内の防災センターでリアルタイムにモニタリングすることで、安全状態を確認する。

 両工事を合わせた事業費は、約20億円。

 都市開発事業本部ビルディング事業部長の生田 誠氏は、「当ビルは十分な耐震性能を備えているが、テナントの方の不安を少しでも減少させるために長周期地震動対策を進めた。今回の設備導入で、揺れ幅を約20~25%、揺れる時間を約50%削減する効果が期待でき、強風時の揺れ軽減にもつながる。今後もビルの資産価値向上に向けて、積極的に投資をしていく」と述べた。


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