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メリットをアピールして顧客を獲得する仲介手法を伝授/コシガタリ

講師を務めた武原摩耶氏
物件の魅力を見いだしアピール、印象づけるために、物件名にもこだわっている。写真はそうして付けた物件名の例

 神奈川県川崎市で5棟66戸の賃貸住宅を所有・運用している越水隆裕オーナーがさまざまな分野の専門家や事業者を招いて開くセミナー兼異業種交流会「コシガタリ」の11回目が25日に、シラハト商店(川崎市高津区)で行なわれた。

 今回は山梨県甲府市で不動産仲介・賃貸住宅管理業を営む(株)Vivit Base代表取締役の武原麻耶氏がスピーカーとして登場。空き家率が全国ワーストである山梨県を営業エリアに事業を展開している同社が、どのような工夫・取り組みにより高い客付力を発揮しているか、講演した。

 武原氏は、『感性のめがねをかける』ことの重要性について、詳細に解説。デメリットばかりが目に付く物件であっても、“感性のめがね”を通して見ることで、その物件のメリットを発見し、アピールすることが大切であると述べた。
 同社で委託を受けたある物件は、16平方メートル・1Rの風呂なし物件で、半年以上空室が続いていた。室内も荒れており、リフォーム代約20万円の負担もオーナーには厳しく、オーナーは空き家として放置しておくことも検討している状態であった。
 そんな物件でも、“感性のめがね”を通して見れば「こぢんまりしているし、角部屋の2階。複合物件だが、入口は別になっている」と、物件のメリットを見いだすことに成功。その点をアピールすると共に、セルフリノベ可として募集を行なった結果、応募が殺到。「趣味部屋として使いたい」という人の入居が決まったという。

 また同社では、物件名についても、「○○ハイツ」「○○邸」などではなく、物件の特徴をイメージできる物件名とすることで、ポータルサイトなどでも目を惹くように工夫。「絶景と暮らす家」「おばあちゃんのぬくもりの家」「駅が家?家が駅?」などに物件名を変更。そこでの生活をイメージでき、かつ、その物件のメリットを強くアピールできる物件名とすることで、成約機会増につなげているという。

 その他、物件の決定権は女性が握っていることが多いことから、「賃貸では女心をつかむことがポイント」(武原氏)と述べ、良いと思われる物件でも、生活の不便につながる点を女性は敬遠する傾向にあると指摘。生活動線を意識した物件は決まりやすいことに加え、店時にウェルカムボード、ウェルカムメッセージを用意するといった工夫を紹介した。
 さらに女性は「不潔感があると、成約は難しい」(同氏)ことから、水回りを清潔に保つこと、共用部に蜘蛛の巣や虫の死骸などがないように徹底清掃すること、におい・ほこりを防ぐために定期清掃は欠かせないことなど、具体的な取り組みを紹介した。


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