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郊外住宅団地の再生・転換手法を検討。276の自治体・法人等が参加/国交省が連絡会議

戸建てを中心とした郊外住宅団地の再生について、業界を横断して検討するため、「『住宅団地再生』連絡会議」を発足。第1回会議には、全276団体の担当者等が参加した
「当会議を契機に全国の住宅団地で再生への取り組みが進んでほしい」と述べる、由木住宅局長

 国土交通省は、「『住宅団地再生』連絡会議」を設立。30日に1回目の会合を開催した。

 大都市・地方中心都市における戸建住宅を中心とした郊外住宅団地では、人口減少・少子高齢化等の影響で、空き家の増加や土地利用需要との乖離等の問題が発生。1955年以降に開発した、計画面積16ha以上、計画人口3,000人または計画戸数1,000戸以上の住宅団地は全国で1,500区画以上。そのうち老朽化等の問題が懸念される65年以前供給の住宅団地は600地区に及ぶ。そうした課題を産官学民が連携して解決するために、同会議を発足した。

 同会議には、同省から住宅局、土地・建設産業局含む6局が参加するほか、(独)都市再生機構(UR都市機構)、大手不動産会社やハウスメーカー、鉄道会社等の民間事業者、不動産業界団体など、276に及ぶ地方自治体・法人等が参加。不動産業界をはじめとした各業界が横断的に連携し、郊外住宅団地を「選ばれる住宅地」に再生・転換していくために、先進事例の研究や調査、意見交換を目的とした会議を、年1回ペースで開催。具体的な事例研究や調査等は都度実施していく。

 現段階の具体策として、(1)流通・リフォームを促進し子育て世帯に提供、(2)生活利便施設や高齢者居住施設等の立地誘導、(3)住民による維持管理や良好なコミュニティの形成などが挙げられるとした。

 会議の場で、住宅局長の由木文彦氏は「これだけさまざまな分野の方々に参加いただいたのは、それだけ幅広い問題があるということ。郊外住宅団地再生および活用の新しい方向性を見い出していきたい。他の省庁との連携も必要性も感じている。当会議を契機に全国で取り組みが進んでほしい」と述べた。
 また同会議会長に横浜市を選任。同市副市長の平原敏英氏は「住宅団地関係者の方々が一同に会すことは大変意義のあること。この問題は一朝一夕で解決できない。それぞれの立地特性を生かし、業種や官民などの枠組みを超えて、課題解決に取り組んでいきたい」と話した。

 基調講演では、東京大学大学院工学系研究科教授の大月敏雄氏が「住宅団地を住みこなせる町にする~地域の住宅すごろくを新たにつくる~」をテーマに講演。同氏の大規模団地調査・分析によると、多様性のない住宅地開発が高齢化に拍車をかけているとした。それを受け「地域の中で居住の循環をもたらす新しい住宅すごろくをつくること」「多様な住宅だけでなく、多様な居場所を設けること」がポイントであるとした。

 そのほか、事例紹介として、大和ハウス工業(株)が兵庫県三木市の団地再生、東京急行電鉄(株)が東急田園都市線沿線で展開する次世代郊外まちづくり、常陽銀行が空き家や住み替えに対応した金融商品などについて、取組内容を発表した。


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