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ZEH相当以上のゼロエネルギー邸が65%に/積水化学工業調査

「太陽光発電システム搭載邸の65%がゼロエネルギーを達成した」と話す積水化学工業(株)執行役員住宅カンパニー商品開発部長の上脇 太氏

 積水化学工業(株)住宅カンパニーは、セキスイハイムで太陽光発電システム搭載のHEMS設置邸を対象に実施した、「ゼロエネルギー達成度調査」および「蓄電池搭載邸の運転実績調査」を発表した。

 2016年1~12月の消費電力量・発電電力量などの分析から、ゼロエネルギー化の進捗状況などを調べたもの。

 太陽光発電システム搭載邸のゼロエネルギー達成度調査(有効母数2,658邸)では、「家電込みゼロエネルギー邸」が40%、「ZEH相当邸」が25%となり、ZEH相当以上のゼロエネルギー邸が65%に達していたことが分かった。

 「家電込みゼロエネルギー邸」は1,073邸で、電力量収支はマイナス3,341kWh/年(中央値)、年間光熱費収支はプラス17万6,000円(中央値)となった。

 売買電力量と売買単価の掛け合わせによる個別邸の光熱費試算を行なったところ、「家電込みゼロエネルギー邸」および「ZEH相当邸」ではほとんどが、「Nearly(もう少しで) ZEH相当邸」の約4割が光熱費ゼロ(太陽光発電余剰電力の売電収入が電力会社への支払い金額を超えるもの)以下となり、全体では光熱費ゼロ以下邸が70%を占めていた。

 蓄電池搭載邸の運転実績調査(有効母数757邸)では、グリーンモード(自立優先モード、太陽光発電から充電し、夜から朝に放電)運転の場合は、年間の放電量資産結果は中央値で1,750kWh/年、容量あたりの放電量は251kWh/年、平均稼働率は約80%となり、より蓄電池を活用できることが分かった。

 グリーンモード運転の場合、電力自給率は45%。ゼロエネルギー達成度調査の母集団すべてが蓄電池なしとした場合、電力自給率は23%と想定され、22%向上した。

 同社執行役員住宅カンパニー商品開発部長の上脇 太氏は説明会で「光熱費ゼロ、エネルギーゼロを達成し、エネルギー自給自足100%に挑戦している。高断熱仕様の導入拡大、蓄電システムの向上に取り組んでいく。自給自足型住宅を拡大するにはコストパフォーマンスを上げていくのが大きな課題。次の中期経営計画で取り組んでいきたい」などと述べた。

 また、東京大学特任教授の岩船 由美子氏による「エネルギー・環境問題における住宅の役割」と題した講演も併せて行なわれ、太陽光発電システム普及策の見直し、地産地消型への転換等が模索されている背景等、俯瞰的な立場でポイントを解説した。


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