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空き地等の有効活用テーマに「都市のスポンジ化」対策を議論/国交省

第3回都市計画基本問題小委員会の様子

 国土交通省は14日、第3回都市計画基本問題小委員会を開催した。

 今回は、空き地等の有効活用方策、「都市のスポンジ化」(都市内部において、空き地・空き家等が小さな敷地単位で相当程度の分量で発生すること)について、委員3名から、事例や分析を踏まえたプレゼンテーションが行なわれ、対策への視点等について議論した。

 千葉大学大学院園芸学研究科准教授の秋田典子氏は、千葉県君津市を例に挙げ、都市計画区域(都計)外の人口集積エリアは、都計からのスプロール、病院、特養等の施設の立地、合併前の旧町の中心地、ローカル線の駅周辺の4つのいずれかであるとした。都計外の都市構造の変容はマクロ的にみるとスポンジ化というよりも、基幹インフラに沿って痩せ細る都市「骨粗鬆症型」だと指摘。都計内であっても人口減少が進むと同様に痩せ細る都市化する可能性があるとした。また、非集約化エリアに居住する4,200万人に対する施策が現状では不十分だとして、コンパクトシティ施策に対する批判の一因になっていることを課題として挙げた。

 神戸大学大学院法学研究科教授の角松生史氏は、都市のスポンジ化対応策の公共性について触れ、建物と敷地の所有者が異なる場合、空家等対策の推進に関する特別措置法上の措置が相互の利害関係に影響するとした。勧告による住宅用地特例の排除は所有者にとって不利益となる一方、敷地が有効活用可能な場合、自治体が「地上げ」を代行している形となり、所有者にとって利益となる。また、公共性が認められない個別利益やモラル・ハザードの一定程度の付随的発生は不可避的で、完全に排除することを目指すか、他の観点から公益性が認められる場合一定程度許容するかという検討課題を提示した。

 日本大学経済学部教授の中川雅之氏は、生産性低下や人口減少などにより、不動産の付値が半減した場合、空き地・空き家のタイプ別の対応として、「市場価値が正のもの」は、マッチングの取引コストを下げることで改善。「市場価値は0でもコミュニティにとっての価値が正のもの」は、コミュニティに低価で売却。「市場価格もコミュニティにとっての価値も0のもの」は縮小の対象とする、などの対策を発表した。

 第4回の会合は、4月13日に開催する予定。


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