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所有者不明土地、九州と同等の面積に

 所有者不明土地問題研究会(座長・増田寛也氏[東京大学公共政策大学院客員教授])は26日、中間整理を公表した。

 同研究会は、不動産登記簿により所有者が直ちに判明しない・判明しても所有者に連絡がつかない土地を「所有者不明土地」として、その問題点等を研究するために2017年1月に設置。4回のワーキングを経て中間整理に至った。

 所有者不明土地があることにより、共有林の買収が極めて困難になったり、登記簿上の所有者住所が満州国にあり、不法投棄とみられる廃棄物の処分に行き詰っていることなどを具体的な支障事例として挙げた。中には、相続関係人が相続やその後の管理の手間を懸念して相続登記手続きを行なわないケースがあることも報告している。こうした個別事情を受け、不動産登記簿が必ずしも最新ではない、土地所有者の探索に時間とコストがかかることなどを問題として指摘した。

 法務省の調査データ(6月8日のニュース参照)においては、登記簿上の所有者の所在が不明な土地は全国の20.1%に及ぶという結果が出ており、面積に換算すると九州の土地面積に匹敵するとした。

 所有者不明土地が発生する原因については、人口減少・少子高齢化による土地需要・資産価値の低下、先祖伝来の土地への関心の低下、地方から大都市などへの人口移動に伴う不在地主の増加を挙げた。さらに今後議論を深めるべき課題として(1)所有者探索の円滑化、(2)所有者不明土地の管理・利活用、(3)所有者不明土地の増加防止、(4)土地所有のあり方の見直し、を挙げた。

 また今後、研究会の検討事項として、相続未登記の発生状況の将来推計や経済的損失の資産の可能性検討などを挙げ、施策の検討や諸外国との比較等も行なっていく方針を明らかにした。


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