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東京・初台で築53年の宿舎を共同住宅に再生

解体現場の様子

 ミサワホーム(株)は7日、リファイニング建築により、築50年超の職員住宅(東京都渋谷区、総戸数18戸)を賃貸住宅(総戸数21戸)に再生するプロジェクト現場を、報道陣に公開した。

 リファイニング建築とは、(株)青木茂建築工房の登録商標で、構造躯体の耐震性能を現行レベルまで向上させるとともに、既存躯体を再利用しながら、意匠の転換や用途変更、設備の一新を行なう建物再生手法。ミサワホームは青木茂建築工房と業務提携し、共同で事業を推進。同プロジェクトはその第1弾。物件の取得・保有等をミサワホーム、管理はミサワホーム不動産(株)が行なう。デザイン、設計、施工に関するアイディアを青木茂建築工房が提供している。

 建て替えではなく再生することで、新築だと9~10ヵ月かかる工期を6~7ヵ月程度に短縮でき、コストも新築の7~8割に抑えることができる。また、建築廃材も削減でき、近隣への騒音・振動なども低減できるなどのメリットがある。

 既存建物は、北海道の宿舎として使用されていたもので、築53年。鉄筋コンクリート造地上4階建て、敷地面積535.50平方メートル、延床面積1,017.24平方メートル。全住戸南面向き。京王新線「初台」駅徒歩10分の閑静な住宅街に立地する。

 新しく計画する建物は、3ヵ所ある屋外階段をすべて撤去し、現代のライフスタイルに合う間取りに変更。エントランス、エレベーター、屋内階段、屋内廊下を新設し、現行の耐震基準をクリアできるよう耐震補強壁を設置する。耐久性は、コンクリートの耐用年数推定調査に基づき必要な改修を行ない、物理的な耐用年数をおおむね50年に延長する。

 見学会で同計画の設計・監理を担う青木 茂氏は「リファイニング建築は難しい技術ではない。ヨーロッパでは2割が新築で8割はこうした仕事となっている。当初は全く相手にされなかったリファイニング建築だが、この10年で風向きが変わった。建物再生の仕事はこれから重要になっていく」などと述べた。


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