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中小賃貸ビル事業、短期的には楽観派が4割

 (株)ザイマックス不動産総合研究所は25日、「ビルオーナー実態調査2017」の結果を発表した。早稲田大学建築学科の小松幸夫研究室と共同で、中小規模ビルを保有するビルオーナーに対し、アンケートとヒアリングで調査したもの。15年に続く2回目で、今回は東京都心部だけではなく大阪市まで対象を広げた。調査期間は17年6~9月、有効回答数は492社。

 ビルオーナー(経営者)の属性は、年齢は6割超が60歳以上。ビルの保有数は1~2棟が約7割。約半数の事業者が、全体の売上に占める賃貸ビル事業の割合が7割以上で、事業歴は30年以上前からが6割を占めている。

 賃貸ビル事業での重視項目として、9割近い事業者が「テナント要望への対応」「中長期の修繕計画作成」「ビルの改修やリニューアル」を挙げ、それぞれの実施した割合も高い結果に。一方、「法改正に伴う既存不適格の改修」や「耐震対策」は、重視しているものの、実施した割合は低かった。

 今後の「賃貸ビル事業」については、3年程度先の短期的な見通しは楽観派が43%で、悲観派の15%を上回る。一方、5~10年先の中長期的な見通しでは、悲観派が38%と増加し、楽観派の18%を上回った。なお、東京の方が大阪に比べて、短期的、中長期的とも楽観的にみる割合が高く、悲観派が少ない。

 今後の賃貸ビル事業での不安は、「築古に伴う修繕費の増加」「空室の増加」「賃料の下落」といった「収入・支出」に関する項目が上位を占めた。

 賃貸ビル事業の経営上の課題と期待では、建て替え時の課題として「容積率の関係で建物が現状より同じか小さくなる」「入居テナントの移転に時間と費用がかかり、予測できない」など経済メリットが得られないことなどが挙がっている。期待項目では「税金の負担軽減」や建て替えや大規模改修時における各種施策の要望が多かった。


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