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建設業の生産性、リーマン前の約3倍/TDB

 (株)帝国データバンクは8日、「全国企業の財務分析(2016年度)」結果を発表した。リーマン・ショック前の07年度(07年4月決算~08年3月期決算)から16年度(16年4月期決算~17年3月期決算)までの10年間の財務分析(「1人当たり経常利益」(生産性)、「自己資金比率」(安全性)、「売上高経常利益率」(収益性)の3指標の分析)を実施。企業規模は、「1億円未満」「1億円以上10億円未満」「10億円以上100億円未満」「100億円以上」の総資本別とした。今回の調査は16年12月に続き5回目。

 「1人当たり経常利益」をみると、全産業平均で約163万円(前年度比7.17%増)となり、7年連続で前年度を上回った。業種別では、「建設業」がリーマン・ショック前の07年度から178.7%増加(約2.79倍)した。規模別では全区分で増加した一方、総資本「1億円未満」のうち「建設業」「製造業」の2業種が前年度を下回った。

 「自己資本比率」は、全産業平均で25.72%(同1.04ポイント上昇)。リーマン・ショック前の07年度(24.71%)を初めて上回った。業種別では、「建設業」が前年度比で1.33ポイント増加。6年連続で前年度を上回ったものの、リーマン・ショック前の水準までは回復していない。規模別では、全区分で改善しているが、総資本「1億円未満」改善幅は前年を下回り、07年度(11.91%)には到達していない。

 「売上高経常利益率」については、全産業平均で2.72%(同0.15ポイント増加)。業種別で悪化したのは「小売業」の1.69%(同0.01ポイント下落)。規模別では、総資本「1億円未満」を除く3区分で前年度を上回った。総資本「1億円未満」は2年連続の減少で、「建設業」と「製造業」の2業種が前年度を下回った。「建設業」は、総資本「1億円未満」を除く3区分で4年以上連続増加する中での減少であり、好調な「建設業」においてその恩恵が小規模企業まで行き渡っていない状況が見受けられた。


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