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所有者不明土地、利用希望者に提供できる制度提案

 (公社)日本不動産学会、(公社)都市住宅学会、資産評価政策学会は25日、所有者不明土地問題の発生原因とその解決のための法政策にかかる第一次提言を公表した。

 3団体からなる所有者不明土地研究会は、相続の繰り返し等により真の所有者が不明となった “所有者不明土地”の利用の停滞が社会問題となっていることを受け、所有者不明土地が発生する原因や、発生させにくくするための政策、有効活用していくための政策を検討をしてきた。

 今回の提言はその内容を踏まえて策定したもので、「私法に関する制度改革の提案」と「公法に関する制度改革の提案」の2章からなる。
 「私法に関する制度改革の提案」では、所有者土地発生の原因として考えられる民法の共有制度の解消に向けた提案を盛り込んだ。具体的には、(1)実際に土地を利用している特定の共同相続人に自主占有を認め、当該共同相続人が時効取得しやすくする運用を行なう、(2)土地利用希望者が広く不在者財産管理人の設置を請求する「利害関係人」となれることとし、土地利用希望者による所有者不明土地の利用を促進する、(3)複数の共同相続人の一人ひとりに不在者財産管理人の設置を要するのではなく、複数の相続人に対し一人の不在者財産管理人の設置でよいこととし、不在者財産管理人の選任にかかるコストを削減するといった内容。
 また、公共団体が所有者不明土地の意思を代行し、売買・賃貸を可能とすることで土地利用を容易にする制度改革や、不動産登記制度の改革についても触れている。

 「公法に関する制度改革の提案」では、行政法上の制度の整備についてまとめ、管理放棄地を減らすため、国、公共団体が所有権放棄地を受け入れる制度を設けることや、日本版ランドバンク制度の創設を提案した。
 さらに租税法上の制度について、(1)国定資産税の滞納処分として所有者不明土地の強制徴収を進める運用を行ない、所有者不明土地を減らす、(2)所有者不明土地の専有使用者に固定資産税を課税する仕組みを導入する、(3)相続登記の回避による相続税の租税回避に対する対策として、相続登記をしなかった場合、租税逋脱犯として処罰する、(4)不要な不動産を国・公共団体に寄附することにより還付金を受けられるようにして、不要不動産の整理を促進するといった提案を盛り込んだ。


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