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「インスペクションの留意点」テーマにセミナー

 

インスペクションの留意点について語る(株)ときそう代表取締役・吉野荘平氏

 (一財)不動産適正取引推進機構は8日、すまい・るホール(東京都文京区)で第106回講演会を開催した。

 (株)ときそうの代表取締役・吉野荘平氏が「不動産実務におけるインスペクションの留意点」をテーマに講演。「媒介契約締結時」「重要事項説明時」「売買契約締結時」の3点について要点を解説した。

 「媒介契約締結時」については、売り主が宅建事業者を通さずにインスペクションを行なっている場合があるため、宅建事業者は必ず売り主へその有無を確認し、重要事項説明時の記載ミスを防止すべきだと語った。
 次の「重要事項説明時」に際しては、調査報告書に書かれた調査部位の劣化が「有」であった場合、「宅建事業者から、調査会社が詳細説明をしてくれるか確認を取るべき」とした。また、「1年以上前に行なった建物状況調査の結果が現在の適合性を証明するものではないので、有効にはならないが、重大な瑕疵があった場合には備考欄にその旨を書くことが無難だ」と述べた。
 「売買契約締結時」については、「売り、買い双方が確認した内容を37条書面に記載して交付するが、調査報告書が誤っている場合もないわけではない。原則調査実施者の責任になるのだが、単なる誤記などについては宅建事業者の過失となるので注意が必要」などと語った。

 最後に、さまざまな取引上のトラブルの事例を挙げながら、「インスペクションは必要かと問われることがよくあるが、やはり訴訟などのトラブルを回避するためになるべくやっておくべきだ。また、地方ではインスペクションをやってくれる資格者が足りていないという声が出ている。これからは質の高い資格者の確保がより大切になってくる」と締め括った。


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