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大阪府北部の地震に係る建築物等の今後について審議

 国土交通省は3日、社会資本整備審議会 建築分科会 建築物等事故・災害対策部会(部会長:深尾精一氏・首都大学東京名誉教授)の第26回目となる会合を開き、「大阪府北部を震源とする地震に係る建築物等の被害状況と今後の取り組み」について審議した。

 同部会は、建築物等の事故情報について継続的な分析、必要な対策の検討を行なうことで重大事故の発生防止を図ることを目的に設置されたもの。

 まず事務局が、同地震によるブロック塀等の被害状況を発表。応急危険度判定において、ブロック塀等が「危険」と判定されたもののうち、倒壊・傾斜等の具体の被害内容が記載されたものについて調査を行なったところ、10件について何らかの基準不適合が疑われるとした。また、倒壊の連絡があった塀の近隣調査で約140ヵ所のブロック塀が確認されたが、著しい被害はみられなかったと報告した。

 これらを踏まえ、今後のブロック塀等の安全確保対策の方向性を提示。(1)安全性チェックを行なうとともに、除却・改修について徹底的な普及啓発を実施する、(2)耐震改修促進法の枠組みを活用し、既存不適格の塀を有する建築物の耐震診断・改修を促進する、(3)現行基準に適合しない塀の除却・改修に対する支援制度の活用について周知を図るとともに、さらなる支援策の必要性について検討する、(4)パトロールや報告徴収等により違反を発見した場合には、厳正に対処するなどとした。
 委員からは、「除却・改修についての普及啓発を行なう際には、地方公共団体における取組事例や成果を共有すべき」「さらなる支援策の必要性について検討するにあたり、現在、どのくらい自治体で支援制度が活用されているのかデータを示してほしい」などの意見が挙がった。

 また、エレベーターの停止の早期復旧・閉じ込めの早期救出等に向けた取り組みの方向性も提示。保守事業者によるエレベーターの復旧体制の整備、閉じ込め救出体制の検証および必要に応じた体制の見直しや、閉じ込めが起こりにくいエレベーターの普及が必要であるとした。


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