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社整審、住生活基本計画見直し議論を開始

 国土交通省は12日、社会資本整備審議会住宅宅地分科会(分科会長:中井検裕・東京工業大学環境・社会理工学院長)の47回目となる会合を開催。2021年3月に閣議決定を予定している新たな「住生活基本計画(全国計画)」策定に向けた議論を開始した。

 住生活基本計画は、社会情勢の変化を踏まえて5年ごとに見直すこととなっている。会合の冒頭あいさつした住宅局長の眞鍋 純氏は「16年3月策定した現在の住生活基本計画は、新たな住宅セーフティネット、建築基準法改正、建築物省エネ法改正などの成果が上がっている一方、社会構造の変化に伴い、空き家や管理不全マンションの増加といった新たな課題も挙がってきており、令和時代の新たな住生活への取り組みが求められている。委員の皆さまには1年半かけじっくりと検討していただきたい」などと述べた。

 今回の会合では、見直しに当たって「居住者」「ストック」「産業・新技術」「まちづくり」のそれぞれの視点から構成した論点を示し、関連データを確認した。「居住者」からの視点では子育て世帯のニーズに立った住宅のあり方や高齢者が安心して暮らせる住まい、外国人や住宅確保要配慮者の居住ニーズ、「ストック」からの視点では既存住宅活用市場への転換が遅れている要因と対策、空き家増加の要因と地域的特徴、老朽化マンションへの対応、「産業・新技術」からの視点ではストックビジネスなど住生活産業の成長促進策、AI・IoTなどの新技術が住宅産業に与える影響などが示された。

 委員からは、マーケット規模やユーザーニーズがまったく違う大都市圏と地方圏を「全国計画」として一括りの政策とするのではなく、地域事情や対策に合わせメリハリを持たせるべきとした意見や、空き家増加の抑制のため新築供給を調整する施策の必要性、既存住宅の有効活用を促進するため建物価値に合わせた減価償却制度を導入すべき、賃貸住宅への大規模修繕積立金制度導入の必要性、これまで導入されたストック活用や既存住宅流通活性化施策の効果測定の必要性などが挙げられた。

 分科会では、10月から本格的な見直し議論に着手。来年6月に中間とりまとめ、21年2月に見直し案をまとめる。

 また同分科会では、ストック時代における新たなマンション政策の在り方を検討する「マンション政策検討小委員会」の設置を決めた。高経年マンションの増加による建物設備の老朽化、管理組合の担い手不足、建て替え合意形成の困難さといった課題を踏まえ、マンション維持管理の適正化や再生の円滑化に向けた取り組みの強化等を議論していく。
 (1)地方公共団体によるマンション管理適正化への関与の強化・充実、(2)マンション再生の円滑化の多様なニーズに対応した事業対象の拡大、(3)団地型マンションの柔軟な再生を可能とする手法の充実、に向けた方策等を検討事項とする。10月以降3~4回の議論を行ない、年内に方向性を決め、来年1月に結論を得る予定。


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