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既存物件を“アート”で再生

「MADマンション」外観
入居者の1人、「ももはら靴工房」の桃原氏は、教室が開ける、音が発生しても問題ないなどの条件に合う物件を探して、この物件にいきついたという

 1日、千葉県松戸市に所在する「MADマンション」「PARADISE AIR」の見学会が開催された。

 同市プロモーション担当室により、松戸の魅力を発信することを目的に実施されたもので、クリエイティブなまち「松戸」の象徴的物件として紹介された。

 MADマンション(住戸数20戸)は、(株)まちづクリエイティブ(千葉県松戸市、代表取締役:寺井元一氏)が運営する築約50年の賃貸マンション。2012年、当時空室だった11室を同社がオーナーから借り上げ、アーティストを中心に改装可、原状回復不要で転貸をスタート。空室発生のつど借り上げていく形で、現在は15室を転貸している。リノベーションやDIYのサポート、ワークショップの企画など同社が担い、入居者が希望する空間実現をサポートしている。入居者はアーティストに加え、教室や工房などとして活用する人も増えている。

 今回は入居者の好意により、習字教室、着物の着付け教室、オーダーシューズ販売・手作り靴教室を主宰する3部屋の内覧が実現。住居内のリノベーション箇所や入居の経緯などについての入居者自ら説明を行なった。
 寺井氏は、「センスのある人が住まい手を入れることで、その部屋の価値が上がる。この物件は築50年近いが、最近では周辺の相場家賃での賃貸借が成立している」と述べた。

 「PARADISE AIR」は、JR・新京成線「松戸」駅徒歩2分のビルの4~5階にある、アーティスト・イン・レジデンス。以前はラブホテルとして運営されていた建物で、現在はアーティストの創作活動を支援するための宿泊施設兼制作場所として運営されている。運営担当は、松戸市および(一社)PAIR。が運営を担っている。ホテル当時の客室を生かしながら、国内はもちろん世界各国からもアーティストを受け入れ、創作活動を下支えし、地域にアートを発信する拠点としても活用している。

 松戸市総合政策部部長の石井久雄氏は、「“松戸”をおしゃれなまちにしていこうということで、市を挙げてさまざまな策に取り組んでいる。まちは着実に変わりつつある」と語った。

「PARADISE AIR」。廊下にはアーティストの制作物も展示されている


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