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カンファレンスの様子

 RICS(Royal Institution of Chartered Surveyors)とAPREA(Asia Pacific Real Estate Association)は3日、不動産テックに関するカンファレンスを大手町フィナンシャルシティ(東京都千代田区)を開催した。

 RICSは英国で設立された不動産・建物等に関わる職業専門家の団体。APREAはアジア太平洋地区における不動産証券化業務の促進を図ることを目的とした団体。今回は共催でカンファレンスを開催。有識者や不動産関連事業者が、不動産テックの最新事例を紹介した。

 早稲田大学大学院経営管理研究科教授の川口 有一郎氏は「不動産テックの明日」と題して講演。情報を暗号化するテクノロジーを活用したサービス等について解説し、「物件確認の自動化や資産運用に関するロボアドバイザーなどが一般的になってきた。ある自動物確サービスは、物件確認電話をAIで解析。2,000通りしかやり取りがないと分かったため、それを暗号化することで自動化をかなえている」などと語った。

 アットホーム(株)のデータソリューション事業を担い、AI(人工知能)技術の開発ならびに不動産データの分析等を行なうアットホームラボ(株)のアドバンストテクノロジー部長執行役員の大武義隆氏も登壇。アットホームが提供するサービス「不動産データプロ」を紹介した。同サービスでは、新築時のパンフレット・販売履歴等の物件情報や、人口・相場価格等の周辺情報、緑化・気候等の環境情報をWEBサイト上でワンストップで確認できるとした。「物件調査を簡単にすることで、不動産事業者がユーザーに十分な説明を行なえるようになり、情報の非対称性の解消につながる」(大武氏)。また、2020年春、同サービスを中心に、同社が提供している地盤調査レポート等も集約した「不動産リサーチプラットフォーム」をリリースすることを明らかにした。

 最後に、不動産等の運用管理に関わるクラウドサービスの提供等を手掛けるプロパティーデータバンク(株)代表取締役の板谷敏正氏がモデレーターとなり、「日本における不動産テックの可能性と将来」をテーマにパネルディスカッションを実施。「日本に不動産テックが普及するか」という問いに対しては、「不動産業界は高齢化が進んでいることが、テクノロジー普及の妨げになっているといわれてきた。ただ、最近そうした世代の方も変化の必要性に気付き始めた。不動産テックに関する業界団体の反応も良い方向に変わっているので、今後の普及には期待できそう」、「首都圏、地方で状況は大きく変わる。物件の取り引きが少ない地方においては、不動産業務の生産性をあげようという意識も低い場合があり、テクノロジーが普及しにくい」などという意見が挙がった。


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