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ニューノーマル時代は“宅配・非接触・在宅”を強化

 三井不動産レジデンシャル(株)は、新型コロナウイルス感染症拡大による急激なライフスタイルの変化を受け、居住者ニーズの調査を実施。調査結果を受け30日、同社物件の入居者向けのメンバーシッププログラム「三井のすまいLOOP」におけるニューノーマル時代に向けたサービスへの取り組み方針について会見した。

 調査は、湾岸エリアのタワーマンション6棟の居住者97名を対象に6月に実施。回答者属性は、共働き世帯が55%、緊急事態宣言発令中の在宅勤務経験者が9割、うち週3日以上は7割となった。

 調査結果では、在宅時間の増加により、キッチンカー(平日夕方にマンション空地にキッチンカーを誘致する「月夜のキッチン」)や食品配達サービス(生鮮食品EC「クックパッドマート」)等、食事に関するサービスニーズが、緊急事態宣言発令前の2月と比較し、約2~3倍に増加。また、もともとニーズが高い家事時短サービスに加え、交流や“リアル”を求める農業体験やモノづくり体験といった「体験型サービス」のニーズが高まる傾向がみられた。一方、ハード面では、在宅勤務を想定した共用部のニーズが顕著に。共用部Wi-Fiやスタディルーム、ライブラリーの利用意向が高まり、さらにWi-Fi速度や質への要望やパーソナル空間を求める声も多く挙がっている。

 これら結果から同社では、ウイズ・アフターコロナでは、家事など日々の暮らしを効率化する「時短」に加え、「手間ひま消費」のように体験を重視する傾向が高まり、ライフスタイルの変化からプライベートや仕事といった「空間の境界線」のフレキシブルさが求められると分析。多様化するニーズへ対応するポイントとして“宅配・非接触・在宅”を挙げ、それらを念頭に置いたサービスを強化していくとした。

 今後は、食品配達サービス「クックパッドマート」の既存物件への導入や、交流型マンションマルシェを、居住者アプリを用いて非接触の個別宅配に切り替えていくなど、ソフトサービスを社会情勢に合わせてアップデートしていく。また、吸音仕様の目隠しパネル付きデスクで、簡易的に室内に在宅勤務用のスペースを作ることができる「(仮称)三井のすまいLOOPイエナカOffice」も企画。8月より三井のすまいLOOP会員向けへの提供開始を予定している。

 ハード面では、個室ブースを備えたコワーキングスペース、パーソナルフィットネススタジオやプライベートサロンなど、時代に合わせた共用部の導入を検討していく。

 将来的には、オンラインを活用したコミュニティ形成支援や地域間交流プログラムなども企画。既存サービスをカスタマイスするとともに、新サービスの開発にも取り組んでいく。

 同社市場開発部部長の﨑山隆央氏は「今のようにライフスタイルが大きく変化する中で、それに対応できる間取り、対応できるサービスを提供していけるか。それが非常に重要だと捉えている。できるかぎりの答えをだせるよう取り組んでいきたい」などと話した。


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