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オフィス賃料の低下時期は都心転入が増加

 (株)ザイマックス不動産総合研究所は、過去の企業移転の動向とオフィス賃貸マーケットとの関連性についての調査結果を公表した。

 各社ホームページや新聞記事などの公開情報を基に、2002~19年にかけて東京都における移転事例5,541件を収集。そのうち都心部と周辺部をまたいだ移転1,094件を抽出し、抽出した移転情報について、年ごとの都心部への転入と都心部からの転出の割合を集計した。

 賃料水準(新規成約賃料インデックス)との関連性については、04~05年と、10~14年の都心部の賃料水準が下がっていた時期に、都心部への転入割合が増えていたことが分かった。一方、06~09年の賃料水準が上がっていた時期は転入割合が低かった。また、直近の緩やかな賃料上昇に合わせ、都心部への転入割合は徐々に減っている。

 オフィス供給(空室率)との関係は、都心部の空室率が上がれば、企業のニーズに合うオフィススペースが増え、都心部への転入割合が増える傾向が見られた。一方、空室率が下がると、候補となる区画が少なくなるため、企業が移転できず、都心部への転入割合も下がったと推察した。

 今後についての予測では、都心部のオフィス賃料マーケットが下落局面に入る場合、過去の動向を踏まえると都心部への転入割合が増えると考えられる。しかし、働き方改革やコロナ禍での企業オフィス戦略の見直しで、企業移転のメカニズムが根本から変わる可能性がある、とした。


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