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不動産私募ファンド、20年末の市場規模22.5兆円

 (株)三井住友トラスト基礎研究所は26日、「不動産私募ファンドに関する実態調査」(2021年1月)結果を発表した。国内不動産を対象に不動産私募ファンドを組成・運用している不動産運用会社106社を対象にアンケートを実施。1~3月に調査し、有効回答数は47社。

 20年12月末時点の不動産私募ファンドの市場規模は、運用資産額ベースで22兆5,000億円(前回調査(20年6月末時点)比約1兆4,000億円増)と推計。前回調査に引き続き、過去最高額を更新した。増加ペースは9,000億円増加した前回調査と比較してやや加速しており、新型コロナウイルス感染症拡大の環境下においても国内市場規模の拡大が継続している。

 デット資金調達状況の変化については、「レンダーの検討範囲(エリア・タイプなど)の縮小」(21社)の回答が多く、「特に変化はない」(10社)を大幅に上回った。全体として資金調達環境が悪化しているとまでは見ていないが、以前よりレンダーによる案件選別の目は厳しくなっている可能性があると分析した。

 エクイティ投資家の投資意欲は、「変化がない」が76%と依然過半を占めるものの、「低くなってきている」が12%(同21%減)と減少。「高くなってきている」が12%に増加し、コロナの影響により低下しつつあった投資マインドが持ち直していることが伺えた。

 今後1年以内のファンド組成では、「ホテル」との回答はなく、「オフィス」も26%(同6%減)と割合の減少が目立つ。また、今後注力していきたい物件タイプでは、「ホテル」(7%)の割合が減少し、「住宅」(24%)、「商業施設」(10%)が増加。「物流施設」(24%)の割合は依然と高い。

 新型コロナウイルス感染症拡大後の投資方針の変化については、53%が「変化があった」と回答。「投資対象の範囲縮小」(94%)、「LTV水準の低下」(89%)、「取得価格目線の低下」(83%)などの回答が多数を占めた。また、投資期間については、「短期化」が57%(前回調査での回答割合40%)と増加した。


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