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地域内経済循環のあり方テーマに研究会/国交省

 国土交通省は3日、3回目となる「『ひと』と『くらし』の未来研究会」を開いた。

 不動産業やコミュニティデザインに従事するメンバーが参加し、地域の新たな価値・可能性を創造することを目的に議論を進めている。前回よりテーマに沿ったゲストスピーカーを招き、それぞれがテーマに沿った取り組みを発表。その後、参加者全員で議論し、テーマ実現に向けた課題や必要な取り組み等について意見交換をしている。

 今回は、「ベーシックインフラの豊かなくらし~地元経済と不動産業~」 をテーマに、エネルギーの地産地消、地域内ファイナンス・地域内経済循環のあり方について検討。ゲストスピーカーとして自然電力(株)(福岡市中央区)代表取締役の磯野 謙氏、(株)E-konzal(大阪市淀川区)・(株)能勢・豊能まちづくり(大阪府豊能郡能勢町)代表取締役の榎原友樹氏、(株)Co.Lab(神奈川県中郡大磯町)代表取締役の原 大祐氏を招いた。

 磯野氏は、再生可能エネルギー施設の開発を進める中で、地域金融機関等と連携し、SPCを設立。発電所の売上収入の一部を、地域課題解消へ取り組む団体への投資等にあてるプロジェクトなどを紹介した。榎原氏は、能勢町・豊能町と連携し、地域での電力会社を設立。町外へ流出していたエネルギー代金を、まちのなかで循環する仕組みを形成し、収益の一部をまちの活性化につながる交通・防災などの取り組みに投資する仕組みを構築し、遂行している。

 原氏は、人口減少・空き家増加などが進んでいた大磯町の事例を紹介。新しいエコシステムの構築によって、地域特性を生かした豊かな暮らしができるまちづくりの取り組みについて発表した。月に1度の朝市の開催をきっかけに、若い世代が空き家を活用し飲食店等を出店する活動などが起きており、消費が生まれることで、地域への投資につながっているとした。

 「ベーシックインフラの豊かなくらし」実現に向けての課題やポイントとして、「前例のない事業への地域金融機関の理解」「行政の支援に頼らない独自の財源確保の仕組み」「地域資源を生かした新プロジェクトの開発」「地域住民と十分なコミュニケーションを図り、共にプロジェクトを進行できる関係性の構築」などが挙げられた。

 次回は6月14日に行なう。「これからの不動産業」をテーマに、シェアリングエコノミーや二地域居住などについて検討する予定。5回目(同月24日)では、新たな地域価値創造に向けての課題や目指すべき方向性などを含めた中間整理を発表する。


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