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京都で花街の歴史を継承する複合開発/NTTUD

ホテル外観完成予想イメージ

 NTT都市開発(株)は14日、京都市東山区で開発を推進する「元新道小学校跡地活用計画」について、事業発表会を開催した。

 京都市および新道自治連合会、宮川町お茶屋組合と連携し、元新道小学校跡地にホテルを新築。小学校と共存してきた隣接する宮川町歌舞練場を建て替え、小学校の面影を一部継承した地域施設を新築する。

 ホテルは、敷地面積約4,014平方メートル、延床面積1万5,529平方メートル、地上4階地下2階建てで、一部地域施設(218平方メートル)を含む。客室数は89室となる予定で、運営事業者等の詳細は未定。歌舞練場は、敷地面積約2,257平方メートル、延床面積約5,443平方メートル、地上3階地下2階建てで、一部地域施設(1,407平方メートル)を含む。建て替え後の施設は従前と同等の約500席となる予定。地域施設は、地域コミュニティの拠点として、避難所や自治会活動に使える多目的ホール、児童館などで構成する。

 地域に残る路地の美しいまち並みを再現するべく、新たな小路をつくり、通りをつなぐことでまち全体を再生。新しい歩行者動線により、新道地域の回遊性向上を図る。

 「“街の記憶の継承”と“新たな共存価値”の創造」を事業コンセプトに、ホテルは、寺社仏閣に用いる庇の意匠や隣接する歌舞練場の装飾を踏襲し、花街「宮川町」の歴史と風情のあるまち並みを継承するつくりとする。また、小学校跡地に現存する樹木も残す。歌舞練場は、100年以上にわたり地域のシンボルだった大屋根を保存。大正時代の唐破風も復元し、すだれと格子を用いたファサードなど周囲の景観と調和するデザインに。地域施設は、同小学校の外壁タイルを移設し、地域に親しまれてきた外観を再現する。施設デザイン監修は(株)隈研吾建築都市設計事務所主宰の隈 研吾氏。

 9月中旬より歌舞練場の解体に着手、着工は2022年夏、竣工は25年春の予定。

 また、NTTグループの強みであるICTを最大限活用したまちづくりにも取り組む。まちの記憶を後世に伝えていくため、小学校周辺一帯を3次元でデジタルアーカイブ化。地域施設では、子供も大人も一緒に楽しめるデジタルコンテンツを導入し、世代を超えた新しい地域コミュニティの醸成を図る。宮川町歌舞練場では、バーチャル映像技術による新たな花街文化の発信を行なう予定。

 同社代表取締役社長の辻󠄀上広志氏は、「ホテル、歌舞練場を一体的に開発し、宮川町お茶屋組合と提携することで、花街文化を伝えられるような新しいサービスが提供できる仕組みをつくっていきたい。足元でのコロナ禍の影響は大きく収束の予測は難しいが、すばらしい文化遺産を持つ京都のホテルということもあり、25年の開業時には必ずや需要は回復すると考えている」などと述べた。

歌舞練場完成予想イメージ


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