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RICS、「建設テック」テーマにセミナー

 RICS(英国ロイヤルチャータードサベイヤーズ協会)は28日、建設テックをテーマとしたウェブセミナーを開催した。参加者は事前登録者ベースで約200人。

 セミナーでは、大成建設(株)の木ノ村 幸士氏が「建築用3Dプリンティングの現状と課題」をテーマに講演した。同社は2018年に建設用3Dプリンタ「T-3DP(Taisei-3D Printing)」を開発。建築用3Dプリンティングは、3次元データに基づいてコンクリートを積層し建築部材等を自動生成する技術で、型枠が不要で部材が制作できる。同氏は、「木材型枠等の建設廃棄物減少につながり、作業工程が減る分、省人化や工期短縮も期待できる。型枠自体の制作が難しかった特殊な形状の部材も制作可能とする効果もある」などそのメリットを解説した。

 これまで、制作途中で鉄筋補強が行なえないため、構造部材は制作できない点が課題とされてきた。同社では3Dプリンタで制作した部材にPC鋼材を挿入・緊張することでPC構造体とする手法により、実際に橋を製作。供用時の想定荷重の約3倍となる1tの荷重にも耐えられる強度を確認できたことから、今後はオブジェや装飾品以外への活用も期待できるとした。

 同氏は、3Dプリンティング関連のプロジェクトは世界的に、直近10年で急増しており、2027年には400億ドル規模の市場となる見込みだとする。一方、同技術の普及に当たっては、要求性能が明確化されていない点等が課題となると指摘。施工計画の立て方についても検討する必要があるとした。


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