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会員企業のDX支援/全宅連・坂本会長が会見

会長3期目、事業の方向性等を語った坂本氏

 6月28日に行なわれた(公社)全国宅地建物取引業協会連合会の総会で、会長に再任された坂本 久氏が7月20日、専門誌記者とオンライン会見。会長3期目の抱負と共に、今後の事業の方向性等について語った。

 現在の市況観について坂本氏は、コロナ禍による住み替え需要の高揚が不動産業界、特に売買市場にとって「特需」となったとし、2022年上半期に関しては在庫の減少に伴って既存住宅の成約件数は減少したものの、価格上昇が続いていると話した。そうした状況を踏まえ下半期の市場については、「フラット35金利の上昇や在庫の増加などにより、過熱気味だった売買不動産市場の調整局面を迎えるのでは。ただ、原材料価格の高騰もあるので、どのように推移するのか予測は難しい」と話した。

 今期の事業計画においては、会員向けの新たな流通システム「ハトサポBB」の稼働・運用を目玉事業と位置付けた。「ハトサポBBは13日にプレオープンし、それから約1週間が経ったが、滑り出しはおおむね順調だと聞いている。9月には本格オープンし、不動産取引の入口から出口まで一貫してサポートする業務支援プラットフォームとして期待している。具体的には、ハトサポBBを通じてウェブ内見や入居申し込み・買い付け、ウェブ書式作成機能などにおけるデータ連動などを搭載し、11月には電子契約機能も導入する。中小企業がIT化に取り残されないよう、会員のニーズに適うツールを提供していく」。

 会員増強についてもハトサポBBをアピールしていく。「前期に11年ぶりに会員10万社を超え、今期は5,000の入会が目標。ハトサポBBをはじめとしたDXによる会員業務支援は、入会の動機付けとして有効だ」と話した。

 また今期事業計画では、後継者問題に関する研究・情報発信を行なっていく。「高齢化や後継者不足を理由に廃業する中小宅建事業者が増えている。賃貸管理業においては、大手事業者にM&Aされるケースも少なくなく、結果として地元への利益還元等の面で問題が懸念される。この問題に対して専門家を交えた勉強会を開催し、事業承継の実態把握や事例収集を進め、ガイドブックの作成などを通じて会員に情報発信していきたい」と語った。ガイドブックに関しては23年2~3月にまとめる予定。「子息が会社を継ぎたくないなどといったケースもある中で、魅力のある不動産業界をつくるのが大切。目の前の課題を一つひとつ解決していく」。


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