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地方と東京をつなぐ学生経営店舗を開業

店舗内には実演や試着室などに活用できるスペースも用意。写真は「宴」をテーマに商品をPRする学生

 三菱地所(株)と(株)中川政七商店は27日、8月2日に開業する学生経営による47都道府県地域産品セレクトショップ「アナザー・ジャパン」(東京都千代田区)の第1期店舗を報道陣に公開した。

 アナザー・ジャパンプロジェクトでは、三菱地所が、学生自身が地元産の物販を手掛けることで出身地と東京をつなぐ場(プラットフォーム)を提供。学生たちは自ら現地に足を運んで物品を仕入れ、経営・店舗運営・プロモーション・接客販売まで自分たちで手掛ける。地域活性事業を手掛ける中川政七商店は、小売業のノウハウを教育、メンターとして学生の経営をサポートする。同プロジェクトを通じて地元地域のことや経営を学んだ学生に、将来の働く場所として地元を選択肢の一つにしてもらい、地方の活性化につなげていくといった意図がある。

 第1期店舗はJRなど「東京」駅日本橋口前のTOKYO TORCH街区、銭瓶町ビルディング1階に開業。店舗面積約140平方メートル。テラス席含め42席のカフェも併設している。

 2ヵ月ごとに全国6ブロックに分けた地域が入れ替わる企画店舗で、初回は「アナザー・キュウシュウ展」を開催。福岡県・長崎県・沖縄県出身の学生3名が合計83日間をかけて、「宴」をテーマに、宴の準備から装い・乾杯・贈り物など約350点を仕入れた。店舗運営には第1期生全18名の学生が関わっており、1ヵ月の売上500万円を目標に、中川政七商店がサポートしている。キュウシュウ展以後は、ホッカイドウトウホク展、チュウブ展、カントウ展、キンキ展、チュウゴクシコク展を予定。

 なお、第1期生は、2021年12月に募集開始。約200名の応募があり、18名が選出された。22年3月より顔合わせ・中川政七商店による研修をスタートし、経営計画立案やビジョン策定などを行なった。総計2,640時間超の研修・準備期間を経て開業に至っている。学生たちは、インターンという立場で研修を受け、店舗接客時などは時間に応じて賃金が支払われる。また、物販を仕入れる際にかかる交通費や宿泊費など、学生の活動を資金面で支える「企業サポーター制度」を取り入れており、現在46社に拡大。クラウドファンディングで個人サポーターも募っており、これまでに135名以上から出資を受けた。

 約5年をかけて育てていく中長期型プロジェクトで、第2期店舗は、27年度に約400坪の店舗をTorch Towerに開業する。第2期時点で全国出身の学生が、47都道府県のブースを常設する計画。

「アナザー・ジャパン」第1期店舗外観
学生3名がみずから仕入れた商品が並ぶ


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