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未来型の「高度産業集積」実現に向け共同研究

IWIの活用イメージ。IWIを人工衛星を用いた高解像度の人口密度データと紐付けることで、それぞれの空間メッシュごとにその増減を可視化できる(左)。左図の計算手法を用いたCO2吸収量の空間分布(右)

 三井不動産(株)、日鉄興和不動産(株)、国立大学法人九州大学の3者は25日、「持続可能性に資する未来型の高度産業集積に関する共同研究」を開始したと発表。

 地政学リスクへの対応を踏まえたグローバルサプライチェーンの見直しが進む中で、とりわけ半導体産業やその周辺製造業への戦略的な投資が国内で加速している。国内での新たな大規模工場の建設は、地域への経済的な影響はもちろん、持続可能な地域全体の活性化につながるまちづくりの視点が求められる。そこで3者は、経済合理性と持続可能性のバランスの取れた製造業を中心とした産業集積を想定し、その実現を目指して共同研究をスタートした。

 共同研究では、2010年より国連が採用している「IWI(新国富指標:Inclusive Wealth Index)」(※)に着目し、九州をフィールドとして半導体産業の集積が起こる影響を定量化。半導体製造業や半導体装置産業といった半導体関連産業に加え、半導体を最終製品として扱う製造業、それら製造業に人材を供給する教育機関、物流施設や生活利便施設などの周辺産業も含めた広範な影響が、空間的にどのように波及するか可視化していく。

 同研究を通じ、製造業や物流業の集積、それに伴う生活利便性施設や住居エリアの再構築に関する知見を得ることで、産業再生や地方創生に役立てる。また3者で30年頃を想定した産業集積のシナリオを検討し、九州大学がそのシナリオの影響結果をIWIとして計算。計算結果を基に、3者でシナリオを検証し、具体的な開発候補地の選定について、三井不動産および日鉄興和不動産で具体化していく考え。

※「現在を生きるわれわれ、そして将来の世代が得るだろう福祉を生み出す、社会が保有すると富の金銭的価値」を数値化したもの


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