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不動産証券化商品への投資、高水準をキープ

 (一社)不動産証券化協会は29日、22回目となる「機関投資家の不動産投資に関するアンケート調査」の結果を公表した。年金基金(以下、年金)や生損保、信託銀行、銀行等の機関投資家(以下、一般機関投資家)を対象に、2001年度から毎年実施している。今回は、年金54件・一般機関投資家62件の合計116件の回答を得た。

 実物不動産あるいは、いずれかの不動産証券化商品に投資している投資家の比率は、年金は65%(前年度比4ポイント低下)、一般機関投資家は94%(同10ポイント上昇)。年金が減少したが、高水準をキープした。また、運用資産の資産配分における不動産の割合では、年金が5.8%(同1.1ポイント上昇)、一般機関投資家は3.0%(同0.4ポイント上昇)となった。

 投資対象別投資状況で「投資済」と回答した割合は、年金は「国内私募リート」(44%)がトップ。以下「海外不動産プライベートファンド等」(39%)、「国内不動産プライベートファンド等」と「上場Jリート」が10%となった。一般機関投資家は「上場Jリート」(67%)が最も多く、「国内私募リート」(59%)、「不動産を裏付けとする債券」(37%)と続いた。

 不動産投資への課題認識では、年金は「ベンチマークとなる不動産投資インデックス」(45.1%)が前年に引き続きトップ。以下、「不動産投資の関連情報の標準化」(37.3%)、「市場規模・投資対象不動産の拡大」(35.3%)が続いた。一般投資家は、昨年2位の「不動産に精通した運用担当者(投資家サイド)の育成」が49.1%でトップ。「不動産投資関連情報の標準化」と「市場規模・投資対象不動産の拡大」が40.0%で続いた。

 不動産(ファンド)へのESG投資の実施については、「実施している」と回答した割合は年金が9.4%(前年度比3.5ポイント上昇)、一般機関投資家が29.8%(同0.2ポイント低下)だった。実施している理由は、年金は「長期的な運用パフォーマンスが向上すると考えたため」が40%でトップ。「運用パフォーマンスは関係なく、責任投資を行なうのが妥当だと考えるため」は20%だった。一般機関投資家も「長期的な運用パフォーマンスが向上すると考えたため」が64.7%でトップだった。


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