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住宅確保要配慮者への居住支援拡充へ検討会

不動産や居住支援の実務者、大学教授をはじめとした有識者で構成する

 国土交通省および厚生労働省、法務省の3省は3日、「住宅確保要配慮者に対する居住支援機能等のあり方に関する検討会」(座長:大月敏雄東京大学大学院工学系研究科教授)の初会合を開いた。

 同検討会は、生活困窮者、高齢者、障害者、ひとり親世帯、刑務所出所者などの住宅確保要配慮者が安心して生活を送るために生活の基盤となる住まいの確保や居住支援の仕組みを検討するもの。これまでにも実施してきた住宅セーフティネット制度や生活困窮者自立支援制度等の一層の強化を目指す。制度強化に向けて、住宅と福祉政策が一体となった居住支援機能の在り方を検討していく必要があることから、住宅分野を所管する国土交通省、福祉介護分野の厚生労働省、刑事司法分野の法務省の関係各局が合同で検討会を設置した。不動産業界団体や居住支援に関する専門家、大学教授らで構成する。

 もともと、国交省と厚労省では局長級による連絡協議会を設置していた。2022年度には、法務省も加わって「住まい支援における課題の把握に関するWG」を設置して意見交換を実施。住宅確保要配慮者に対する「住まいに関する相談」「住宅の確保」「入居中の居住支援」という3段階での課題が抽出された。

 検討会の初回の会合では、現状把握および論点整理を中心に検討を進めた。居住支援関連政策の現状と課題について、3省の担当者が現状の取り組みや課題認識についてそれぞれ説明したのち、(一社)北海道総合研究調査会理事長の五十嵐 智嘉子氏から、居住支援に関する調査結果について説明が行なわれた。

 その上で、前述したWGの結果等も踏まえ、同検討会においては(1)住宅確保要配慮者のニーズに対応した住宅を確保しやすくする方策、(2)住宅確保要配慮者が円滑に入居でき、かつ適切な支援につなげるための方策、(3)入居後の生活支援まで含めた居住支援機能の在り方、(4)大家等が安心して貸せる環境整備、の4点を中心に検討していくことを確認した。

 これらの議論を受け、委員からは、「居住支援法人の多くは赤字経営を強いられている。彼らが安定的に経営できるようにする方策を考えたい」「借地借家法をはじめとした現行の法制度の課題についても検討してはどうだろうか」「オーナーも高齢化しており、そうしたオーナーも安心して貸せる仕組みが必要」「刑務所出所者も高齢かつ障害を持っている人が多く、対策が必要だ」などといった意見が挙がった。

 なお、今後については8月に2回、9月に1回のペースで会合を開き、23年秋頃をめどに中間とりまとめを行なう予定。


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