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居住支援の検討会で、全宅連・全日らが取り組み紹介

 国土交通省は28日、「住宅確保要配慮者に対する居住支援機能等のあり方に関する検討会」の3回目の会合をオンライン併用で開催。各委員が、所属する団体の取り組みを発表した。

 不動産業界団体からは、(公社)全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)、(公社)全日本不動産協会(全日)が、住宅確保要配慮者に対する居住支援の取り組みについて説明した。

 全宅連理事の岡田 日出則氏は、「残置物の処理等に関するモデル契約条項」「終身建物賃貸借」の認知度と利用意向について、会員事業者向けに行なった調査の結果を紹介。その結果を踏まえ、残置物処理等に関するモデル条項については、「活用ケースが限定的。残置物処理や賃貸借契約の解除等、契約終了時の手続きの簡素化を図るとともに、国による運用指針の策定等が必要ではないか」と言及。終身建物賃貸借制度では、「認定制度や改修要件が制度普及のネックになっている」とし、「普通賃貸借・定期建物賃貸借などとともに、一般的な賃貸借の類型として位置付けるなど、思い切った見直しが必要ではないか」と要望した。

 全日常務理事の出口賢道氏は、高齢者等の賃貸住宅への入居円滑化に向けた課題について説明。家主側の心理的阻害要因として、「物件棄損」「残置物」「風評被害」リスクの3つを挙げた。「孤独死の場合、特殊清掃や大規模なリフォームが必要となる。また、発見状況によっては次なる入居付けに際して告知を要し、これにより賃料下落の懸念があることから、円滑な入居が阻害されている事情が見受けられる」とした。また、高齢者等への住宅提供環境に関し、「保証契約に際し、緊急連絡先となる親族等がいない場合、多くの保証会社において審査が通らないため、契約締結に至らない」と言及。セーフティネット住宅情報提供システムについて、「家主、管理会社の認知が進んでいないことも阻害要因」であると説明した。

 そのほか、(公社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会、社会福祉法人・全国社会福祉協議会、更生保護法人・全国更生保護法人連盟が、それぞれ居住支援に関する報告を行なった。

 これまでの検討会の議論を踏まえ、座長の大月敏雄氏(東京大学大学院工学系研究科教授)が、住宅セーフティネット制度の見直しの方向性を示した。「居住支援の充実、賃貸人が住宅を提供しやすい市場環境の整備、住宅確保要配慮者のニーズに対応した住宅等の確保に取り組む必要がある」(同氏)。そのほか、委員からは「まずは居住支援に関する認知度を上げる工夫が必要では」「セーフティネット住宅に関するサイトの充実も課題」「居住者の属性が変化することを鑑み、変化に柔軟な追従性を持った終身建物賃貸借制度となることを求める」といった意見が挙がった。

 4回目の会合は、9月21日に行なわれる予定。


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