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築50年の元学生寮解体前に「棟下式」/ポラス

解体前に神事を行なって建物に感謝を示す

 ポラスグループの中央グリーン開発(株)は23日、千葉県流山市で築50年の元学生寮の建物解体に当たり、「棟下式」を執り行なった。解体後は総戸数19戸の建売住宅として開発する予定で、同社が分譲前提で棟下式を行なった事例では過去2番目の大きさとなる。

 「棟下式」は、この取り組みを考案した同社と合同会社パッチワークスによる造語で、建物の解体前に神事を執り行なって長年活用されてきた建物に感謝の意を示すことを目的としている。2017年に埼玉県越谷市で行なわれたのを皮切りに、今回の棟下式で41回目になる。全国各地には似た慣習や取り組みも存在する。

 今回、棟下式を執り行なったのは「聖徳大学孝和寮」(総室数44室、最大収容人数228人)だった建物。敷地面積は2,974.22平方メートル。1973年に地元百貨店の女子寮として建設され、数年後に同大学が取得。以降、地方出身学生の寮として使われてきた。10年ほど前から使われなくなっていたが、入寮ニーズが強くなった時に再活用しようと、最低限の建物のケアをしながら空き家として残していた。数年前に、近隣に新たに学生寮を取得したことから、手放すこととなり、同社に売却することに決定。同社が棟下式を提案し、開催が決定した。

 棟下式には、地元住民らが参加。竣工当時の百貨店女子寮時代に両親が寮長と寮母を務め、現在も近所に住むという女性も訪れ、「物産展に訪れた地方の人たちがこの寮に宿泊したり、スリランカからのお客さまを迎えたりもした。敷地内の桜の木は父が植えたのを覚えています。ここ10年ほど、空き家となっていて心配していましたが、この場所の将来が決まってよかった」と、昔を懐かしんだ。

 神事を行なった後は、解体する建物から「餅まき」が行なわれたり、敷地内の樹木を使った工作イベントが行なわれるなど、100人以上の地域住民が建物との別れを惜しんだ。

 解体工事は24年2月ごろまで行なわれ、その後造成、建売住宅の分譲は同年6月を予定している。各区画の土地面積は135.30~140.30平方メートルとゆったりとした広さを確保。「流山市が推進する『流山グリーンチェーン戦略』に則り、植栽をふんだんに施した緑豊かな住宅地にしていく。販売価格は未定だが、おおむね5,000万円前後を予定している」(同社)。

「聖徳大学孝和寮」の正門。10年間使われてはいなかったが、いつでも活用できるよう外壁の塗装などのメンテナンスは行なわれていた
100人超の地域住民も集まった。写真は解体する建物からの「餅まき」の様子


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