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足立区にFMT構法採用の木造賃貸/地所ホーム

「江北小路」外観

 三菱地所ホーム(株)は28日、足立区木密移転先プロジェクトの賃貸住宅「江北小路」(東京都足立区、総戸数16戸)を報道陣に公開した。

 同プロジェクトは、東京都の「都有地活用による魅力的な移転先整備事業」のプロポーザルで採択されたもの。木密地域からコミュニティーを維持しつつ移転を促すため、移転者向けに受け皿となる施設を整備した。施工を行なう同社をはじめ、事業主の(公財)東京都都市づくり公社、設計監理の(株)スタジオ・クハラ・ヤギ、管理会社の(株)ハウスメイトパートナーズの4社がグループを作り提案を行なった。

 日暮里舎人ライナー「江北」駅徒歩11分に立地。都営住宅に囲まれた都有地で、敷地面積775.75平方メートル。建物は、木造一部鉄骨造地上3階建て、延床面積1,142.54平方メートル。木造準耐火構造で、市街地の不燃化に寄与していく。着工は22年3月、竣工は23年9月。

 南側と北側の2棟で構成。1階には、外部空間と一体となった路地風の空間「みんなの小路」を設置。コミュニティー形成に寄与する2つのテナントも誘致する予定で、居住者と地域住民との交流を促進していく。2・3階には多世代向けの住戸を用意し、2階の5戸を木密地域からの移転先対象住戸とした。

 1階は木材と鉄骨を併用したハイブリット構造であるFMT構法、2・3階は在来軸組構法+CLTパネル。FMT構法で、大断面の集成材厚板パネルの性能を最大限引き出し、壁倍率最大20倍の高耐力・高靭性の構造壁により、耐震等級3を維持しながら、構造壁量を一般的な2×4工法比で6分の1~7分の1に抑えた。建物の外壁の一部に東京都多摩産材スギ材を使用し、木材の魅力を生かした景観とした。木材使用料は約350平方メートル。

 説明に当たった同社常務執行役員ソリューション事業部門部門長都市木造開発推進部長の越川喜直氏は「木造密集地域は近隣同士のお付き合いが長い年月育まれている。今までのコミュニティーがそのまま保たれる施設を目指し、温かみのある木造の建物を提案した」などと述べた。

 住戸は1K~3LDK。専有面積は29.57~72.13平方メートル。家賃は6万9,000円~9万2,000円で、周辺相場よりも1万円ほど割安。現在は5戸が成約済み。2LDK・3LDKのファミリータイプの住戸に人気が集まっている。

路地風の空間「みんなの小路」


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