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サプライチェーンを巻き込み脱炭素を加速/三井不

植田社長は「脱炭素の取り組みの領域でもプラットフォーマーとしての役割を果たし、新技術の開発や実装をサポートしていく」と述べた

 三井不動産(株)は17日に記者説明会を開催。脱炭素を加速させるために、サプライチェーンを巻き込みGHG(Greenhouse Gas:温室効果ガス)を削減する取り組みを推進すると表明した。

 同社は2021年に50年度までのグループ行動計画(ロードマップ)を策定。GHG排出量を30年度に19年比で40%削減、50年度にネットゼロとする目標を掲げている。同社はこれまでさまざまな取り組みを進めてきたものの、同社グループの温室効果ガス排出量の90%がSCOPE3(他者排出)が占めていることから、目標を達成させるためには「われわれのサプライチェーンも含め関係するあらゆる人の意識へ働きかけ、行動変容へつなげる」(代表取締役・植田 俊氏)必要があるとし、新たな取り組みを進めることとした。

 10月から、建設時のGHG輩出量削減に向けて、同社グループのサプライチェーン企業に対し、(一社)不動産協会が23年6月に公表した「建設時GHG排出量算出マニュアル」を使用しての排出量算定を義務化した。これにより工種や資材別の排出量を見える化し、GHG削減への意識付けを図る。さらに、建築会社に削減計画書の提出も義務化し、業界全体でのGHG削減機運を高める。

 入居テナントや生活者の行動変容に向けて、三井不動産レジデンシャル(株)で提供している「くらしのサス活」のさらなる活用を進める計画についても明らかにした(同サービスについては、過去のニュースを参照)。22年に設計を開始した首都圏の同社分譲物件に導入しているこのサービスについて、賛同パートナーを継続して募集し、より魅力的なインセンティブ提供を進めると共に、消費者にとってより取り組みやすくするようアプリも開発・リリースする予定としている。また、これまでは新築物件に導入してきたが、30年までに、同社グループで分譲した24万世帯にもサービスを拡大していく計画。

 同社所有林の木材活用や木造ビルの供給、木材活用に向けての産学の共同研究、脱炭素技術の研究開発支援などと併せて、幅広く脱炭素に向けて推進していくとした。

 植田氏は、「脱炭素の取り組みの領域においても、われわれがプラットフォーマーとしての役割を果たすことで、新技術の開発や実装をサポートしていく。そして、こうした挑戦が、グリーンイノベーションの創出、そして、世界から日本へのESG投資促進へとつながっていくはず、と期待している」と述べた。


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