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国交省、マンション標準管理規約見直しへWG

 国土交通省は30日、「マンション標準管理規約の見直し及び管理計画認定制度のあり方に関するワーキンググループ」(座長:齊藤広子横浜市立大学国際教養学部教授)の初会合を開いた。

 マンションをめぐる建物と居住者の「2つの老い」の進行等に伴う各種課題に対応していくため、8月に公表された「今後のマンション政策のあり方に関する検討会とりまとめ」に基づき、標準管理規約の見直しおよび管理計画認定制度のあり方について検討する。

 初会合では、標準管理規約の主な検討項目として「デジタル技術の活用」「電気自動車(EV)用充電設備の設置推進」「管理に関する情報開示」「宅配ボックス、置き配」「管理費等の徴収に係る費用の整理」「区分所有法制の改正への対応」などが示された。

 「デジタル技術の活用」では、(1)監事が監査を行なう場合に、電子データを活用して遠隔地から監査することができる旨を明確化、(2)閲覧対象となる資料が電子データで作成・保管されている場合において、利害関係人から電子メール等を用いた閲覧の要望があれば、電子メール等により提供することができる規定を追加、といった検討項目を提示。
 また、「EV用充電設備の設置推進」については、「導入にあたっての使用細則の必要性等を追加」「設置工事の決議要件における考え方を追加」「宅建業者等への情報提供様式にEV充電設備に関する項目を追加」するなどについて検討する。

 管理計画認定制度については、マンションストック総数から比較すると認定マンションは限定的であり、管理水準の底上げのためにも、特に認定の取得が進んでいない類型のマンションの要因分析や、認定取得によるさらなるインセンティブの検討が必要であるとした。修繕積立金の安定的な確保に向け、段階増額積立方式における適切な引き上げ幅に関する基準、防災・地域連携に関する基準のあり方を検討することの必要性について提案した。さらに、「認定マンションの資産価値向上、市場で評価されていくためのさらなる仕組みの検討」「新築のマンションの管理水準を確保していく必要性」など、今後の方向性について示した。

 委員からは、「標準管理規約で、管理費の滞納における充当処理の手順・方向性をある程度示したほうがよいのでは」「さらなる認定取得に向けインセンティブの検討は十分に行なったほうがよい」「認定制度にかかるガイドラインをさらに充実すべき。そのための議論が必要では」「解体積立金、あるいは新たな積立金の議論を行なう必要性はないか」といった意見が挙がった。

 同ワーキンググループは、今後5回にわたって会合を開き、24年3月をめどに「標準管理規約の見直し」についての最終案と、区分所有法制の改正に係る見直し項目を提示する。「管理計画認定制度のあり方」については、今後の方向性を提示する予定。


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