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地籍調査・土地分類調査、進捗率は低調/国交省

 国土交通省は31日、国土審議会土地政策分科会企画部会において、第16回「国土調査のあり方に関する検討小委員会」を開催した。

 同省ではこれまで、地籍調査(土地の境界や所有者に関する調査)や土地分類調査(土地の歴史に関する調査)を実施し、土地の利用・管理の基盤となる情報の明確化を図ってきた。人口減少や少子高齢化、災害の激甚化・頻発化等の環境変化に伴い、土地を適正に利用・管理し、安全で持続可能な社会形成等を図る重要性が増していることを踏まえ、これらの調査の加速化に向けた検討を行ない、年度内を目処に方向性を取りまとめる。

 委員会では、第7次国土調査事業十箇年計画(2020~29年度)における進捗状況を共有。20~22年度末の地籍調査の進捗率は52%、計画目標に対する達成率は16%で、うちDID(人口集中地区)は進捗率27%・達成率10%、林地は進捗率46%・達成率14%となった。また、20~22年度末の土地分類調査の実施量・計画事業量も21%と低調で、いずれも目標値の達成は難しい見込みとなっている。地籍調査においては、非協力な所有者がいる場合の対応や、オンラインによる筆界確認手法の導入といった現地調査の円滑化・迅速化などが、土地分類調査においては、調査の効率化および調査成果の広報などが喫緊の課題となる。

 委員からは、「多くの市町村でそもそも調査に当たる人員が不足しているという課題がある。第三者機関との連携等も視野に入れては」「調査の進捗率が低調であるにも関わらず、予算を増やす動きが見えない。やる気がないと思わざるを得ない。予算取りについて一考してもらいたい」「自治体の担当者は、土地所有者からの訴訟リスクにさらされながら日々調査を行なっている。自治体の後ろ盾となるべく、土地の権利・義務関係の法律の明確化やガイドラインの策定が必要だ」など、さまざまな意見が挙がった。

 これらの意見を踏まえ、第7次国土調査事業十箇年計画の中間見直しを行なっていく。次回会合は23年12月18日に開催する予定。


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